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ミノワをみろ
「ち、ちがう!」
かこまれたチサイは、にぎっていた血まみれのクナイをふりまわした。
「そうだ、そっちじゃねえ!!」
コウドの声も、血をふいた仲間をめにした男衆たちには、とどかない。
怒声とともに男衆がいっせいにチサイにおそいかかり、コウドはそこにとびこんで、どうにかチサイを守るのがせいいっぱいだった。
「ウド兄ものっとられてやがんのか!」
殴り飛ばされた男衆がさけぶ。
「ちがう! ミノワだ!! ミノワをみろ!!」
ここでようやく、みんながミノワをふりかえる。
ひとりの男衆が、血を吐くミノワに肩をかして外に出ようとしているところだった。




