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『ヤツ』が
「・・・この街にくるときにも、西にいるあいだに中に『はいった』男たちを、川までよんで、顔を、 ・・・両手についたいやな匂いの血を、川で洗っていたら、気が遠くなって、・・・それから、あなたたちに拾われてからは、ずっと、『ヤツ』がわたしをのっとっていて、シュンカの中に入ろうとしていたがそれはかなわいとなると、とにかく手をさわって、『気』をすいとっていて、 わ、 わたしはいやだったのに、 ヤツ がっ、もういまのウツワ っ、」
「 ウド兄!はなれろっ!」
いきなり、チサイをとびこえたミノワが、コウドにとびついた。
予想もしていなかった動きで、コウドはそのまま台所の板の間にひっくりかえされる。
先におきあがったミノワが土間のチサイをさし、あいつ縄をきってやがる、とさけぶ。




