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おとぎばなし ― 剥奪 ―  作者: ぽすしち
 兆(きざ)し

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あいつがなあ・・・


 トクジというのは一度坊をやめてから、また高山たかやまに《とく》をとりにゆき、坊主に戻ったが、ずっと色街に住み続けている変わった男だ。



「まあ、最後はトクさんとこにいるんだが、このごろシュンカも人気がでちゃってねえ・・・。帰るのが遅い日が続いてるんで、ズザクも機嫌がわるいよ」




「スザクがなあ・・・」

「あいつがなあ・・・」


 そろって感慨深い声をもらす坊主たちは、スザクが子どものころ高山たかやまに突っ込まれ、《徳》をとるのを手伝った二人で、そのころを思い出しているのだろう。

 




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