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おとぎばなし ― 剥奪 ―  作者: ぽすしち
逃げ道

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サマにならねえ


「いや・・・おれがもっと早くに、チサイのことを、気づいてたら」


「まったく、これだからウド兄は、お人よしだってんだ。 おれらなんて、あいつとシュンカを添わせよう、なんてことまで口にしてたんだぜ?」


「まあ、そうだが・・・」


「ここに集めたやつらが、もしかしたらチサイにおかしな《術》をかけられてるかもしれねえってことなんだろ?  だがそりゃあべつに、ウド兄のせいじゃねえし、《かしら》のせいでもねえ。 なにかあったら、おれだって加勢するから、まあ、まかせとけ」


「・・・おめえ、・・・その足じゃ、どうせ役にたたねえだろ」


 まだ、片足をかばうような歩き方をしている。


「ウド兄、泣きながらそんなこと言ったって、サマにならねえぜ」


「泣いてねえだろ。 まだ」



 コウドが顔を片手でぬぐったとき、庭にはいるための木戸の外で怒声があがり、中にいた男衆たちも外へ出る。



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