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気遣われる
コウドは歯をくいしばっていた。
チサイをさがしに、トクジとドウアン、タクアンと男衆たちも出払っている。
チサイをさがしにでてもらうのに集めた男衆に、《術》のことを簡単に話し、すまん、おれのせいだ、と頭をさげた《若頭》に、男衆のみんながわらって手をふった。
「ウド兄に病気をみてもらうよりゃ、中身がどうあれ本物の医者がいいもんなあ」
「《頭》が気づけないのに、ウド兄が気づけるわきゃあねえや」
などなど。
みんなが気遣ってくれているのがわかったコウドは、泣きそうなのをかくすように、いつもの怒声で、とっととさがしだしてこい!と男どもをおくりだした。




