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迎えにゆく
「ああ、そういうことか。 ―― それで、あの顔か」
コウアンがわらってうなずいた。
「ここについたときに、下界につかいにだしたシュンカが戻ってこぬからと、わしらを放って、迎えにでた」
いや、あいつが人を迎えにゆくなどと、おどろいたわ、とコウアンが笑い声をあげる。
「そうなんだよ。 シュンカは、このごろ下界にいることが多くてね。 あまりに戻ってこないと、しびれをきらしてあいつが迎えにいくんだ」
その場所が、『色街』なのだ。
「ということは、 ―― トクジがいるところか?」
コウアンが得心いったような顔をする。




