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『なんとも』ない
トクジも、チサイがいままでこの街にしてくれたことを考えれば、コウドとおなじように、この男がなんともないことを願いたい。
じっとみつめてしまったのを、心配されているととらえたのか、もうなんともありません、としっかり立った医者は、あとは一人でかたづけられるので、トクジどのは詰所におもどりください、と気をつかった。
「いや、でも、」
「わたしなどより、よほど忙しいでしょう? コウドさんも、いらっしゃらないんじゃあ」
コウドがタクアンといっしょに出ているのは、あの死体の二人の身元を確認しにいっているからだと言ってある。




