どうした
この話のはじまりの部分が『A班ファイル』の『狼男 』と同じものですが、はなしはまったくなんのつながりもございません。。。。 天宮の伍の宮に棲む坊主スザクと元神官でいまは絵師セイテツ、その二人に助けられたシュンカのはなしを続けております。設定ゆるふわですので、薄目でごらんください。 あるひセイテツのところへ高山の坊主たちができて、シュンカに会わせようと色街へゆくと、すざくが骸をかついでやってくる。。。。 こちらのはなしも、残虐表現、残酷場面、血肉表現が多いものとなっておりますので、なにとぞご注意ください。。。。。
顔をおおっていた手のせいで、この世が暗かった。
とてもいやなにおいがする。
そっと手をはずせば、暗かったはずのいまの場所があかるくなる。
「 ああ 」
もれだした息のようなかすれた声はおのれのものか。
見下ろした両の手は、血まみれだった。
――― ※※※ ―――
セイテツが三日ぶりにもどった伍の宮には、めずらしく下界からの客がきていた。
下界といってもその二人がふだんくらすのは、高山とよばれる坊主たちがおさめる場所で、高い山の上なのだが。
「そんないやそうな顔でむかえることはなかろう」
宮に入ってすぐの部屋ではなく、なぜか台所の食事をするテーブルに、二人の坊主は座っていた。
コウアンがわらって、となりのドウアンに、おまえの従妹は素直だな、とわらい、セイテツの年上の従妹であるドウアンは、渋い顔で、水を浴びてこい、と命じた。