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第17話 魔物の大群



「絶息術式 インフリクト トゥラヴマ」


「変質加工 スパナ ロール!」


まず先行して前に出たシュルツさんとクヴァルダさん。

中型以上のオーガやサイクロプスといった魔物を次々と危なげなく倒していく。


そんな姿を目にし、先程まで半信半疑だった騎士達は呆然としていた。


「な…なんだあれ!?剣…いやメスで切り刻んでる!?」


「強すぎる!本当に医者か…!?」


「あの職人…スパナを変形させて首を捩じ切ってるぞ!?」


「あんな戦い方見た事ない…どうなってるんだ!?」


2人のあまりの強さに、衝撃を受けて戦う事も忘れてしまっている。


フフフ、なんとなく鼻が高い。

どうだ2人は強いだろう。


「わぁ、お義兄さんクヴァルダより強いって本当だったのね…。リオルくんも戦えるのよね?」


「2人には全然及びませんけど、一応は」


「そうなのね!頑張って!お姉さん応援しちゃう!」


おぉ…綺麗なお姉さんに言われると頑張らなきゃって思っちゃう。

よし!やるぞ!


「天流剣技 焦熱 エリュトロン!」


炎を纏った袈裟斬りで、割と近くまで来ていた鶏と蛇を掛け合わせたような姿のコカトリスを斬る。

斬られたと同時に悲鳴を上げながら炎上するコカトリス。


やった、ちゃんと通用する!

ミナスさんも「すごーい!」って褒めてくれてる嬉しい!


と思っていたら、騎士達が目を剥いた。


「コカトリスを一撃で…!?」


「あ…あの子供、俺より強いぞ…!?」


「今のうちに、騎士団に勧誘しておいた方が良いんじゃないか…?」


え、俺スカウトされちゃう?

騎士か…騎士もカッコいいかもしれない!


なんて考えていたら、背後に迫っていた魔物をシュルツさんが斬り伏せた。


「油断はしないように」


「…はい」


頭を指の後ろでコツンと叩かれ反省する。

恥ずかしい。

ちゃんと戦いに集中しよう。


今度は油断しないように気をつけ、シュルツさんやクヴァルダさんと共にどんどん敵を倒していく。


と言っても数が多く、騎士達も頑張ってくれているがなかなか減らない。

そんな中、ミナスさんにも魔物が多く向かっているのが見えた。


「あ!クヴァルダさん!ミナスさんを助けないと!」


戦闘は得意じゃないと言っていた事を思い出し慌ててクヴァルダさんに教える。

しかし、クヴァルダさんに焦る様子は無い。


「あー、あの程度なら大丈夫っすよ」


「え?けど…」


「まぁ見ててくださいっす」


そう言われ目を向けると、ミナスさんは素早い身のこなしでヒラリヒラリと魔物達の攻撃を躱していた。

そして躱しながらマジックバッグを漁り半透明の石を取り出す。


あれは…魔石?


「電撃魔法陣 ペースト」


タブレットから魔法陣を宙に映し、それを魔石に貼り付けた。

そして黄色く光り始めた魔石を魔物達へと翳す。


「アクティベーション!」


そう唱えた瞬間、魔石から電撃が発せられ魔物達が纏めて感電した。

役目を終えた魔石は粉々になって消えていく。


待って何それ今のカッコイイーー!!


「ミナスは自分で魔法使えない代わりにああやって魔石と魔法陣使って攻撃するんすよ」


「すごい!格好いい!もっかい見たい!!」


因みに魔石は魔力を注ぐ事で何かしらの力を発揮する鉱物だ。

魔道具などによく使用されているが、宝石と違い沢山発掘されるので比較的安価で売っている。


それにしてもあれで戦闘苦手とか信じられない!

俺のテンション爆上がりだよ!


と、目を輝かせ見ていたらミナスさんがズンズンこっちへ歩いてきた。


「ちょっとクヴァルダ!アンタ見てたクセに助ける気ゼロだったでしょ!?」


「え、だってあの程度の雑魚なら平気じゃないすか」


「それはそうだけど、見学してて良いって言ったのアンタじゃない!ね、そうだよねー?リオルくん」


「うん。クヴァルダさんが悪い」


「ちょ!?リオルくん付き合い長いオレよりミナスの味方っすか!?」


何を当たり前のことを。


因みにそんな痴話喧嘩の内容を聞いて騎士達は「雑魚…だと?」と肩で息をしながら呟いてる。

悪気は無いんですスミマセン。


「それにしても…ちょっと妙ね」


「あ、やっぱりミナスも気付いたっすか?」


「そりゃあね」


ん?

気付いたって何を?


首を傾げる俺にミナスさんが説明する。


「こんなに色んな種類の魔物が一斉に王都に向かってる時点でもおかしいんだけどね…なんか1匹1匹が強化されてる感じがするのよ」


そうなのか!

初めて見る魔物ばっかりだから、これが普通なのかと思ってた。


「もしかして、特殊個体の集団なんですか?」


「いえ、それならもっと強い筈よ。中途半端に強くなってる感じね」


となると…誰かが支援魔法でも使ったのかな?

そう考えていると、シュルツさんも周辺の敵を一掃してこちらに来た。


「魔物達から薬物反応がある。恐らくそれが原因だろう」


「さすが義兄さん!」

「さすがシュルツさん!」

「さすがお義兄さん!」


みんなに一斉に褒められて反応に困ったシュルツさんはリュデルさんの方を見る。


「リュデルさん、そろそろ一気に片付けましょう」


「そうじゃなぁ。騎士達の実戦経験も充分か」


あぁ、討ち漏らしを倒すくらいで殆ど戦闘に参加せずジーゼさんと見学してるなと思ってたらその辺のこと考えてたのか。

大群相手でも余裕だなぁ。


「よしリオル。また手本を見せてやるからよく見とくんじゃぞ?」


「え?あ、はい!」


おぉ!

騎士だけじゃなく俺のことも考えてくれてる!

これは目を皿にして見…


「うわ!」

「きゃ!」


と、その場でガン見してたらシュルツさんに小脇に抱えられた。

同時にミナスさんもクヴァルダさんに抱きかかえられてる。


「危険だから離れるぞ」


「騎士の皆さんも退避してくださいっすー!」


言いながら直ぐにリュデルさんから距離を取る2人。

察したレイナードさんが「総員退避!!」と命令を出し、騎士達もよく分からないまま慌てて退がる。

それから直ぐに剣を構えるリュデルさん。


「天流剣技」


リュデルさんからの闘気で一気に動きが鈍る魔物達。


「焦熱」


構えている両手剣が纏われた魔力で熱されて赤を超えて白くなる。

そして大きな炎を纏った。


「エリュトロン」


前方にいたサイクロプスを炎の刃で袈裟斬りにする。

が、そこからが凄かった。


――ゴオォォオッ


斬られたサイクロプスが燃える、なんてレベルを超えて巨大な火柱が上がる。

周辺の魔物から上空を飛んでいた魔物にまで次々火が移り、一帯が燃え盛る地獄絵図と化した。


これには騎士達も目玉が落ちそうなくらい目を見開き顎が外れそうなくらい口を開ける。


「こ…これが勇者の力…!?」


「や、やべぇぇえーー!!勇者やべぇぇえええ!!」


いやマジでヤバい。

本家ってこんな技だったの?

魔物達みんな消し炭になってるじゃん。


リュデルさんは炎に反射して光る頭を掻きながら振り返った。


「ちょっと、やり過ぎちゃったかの⭐︎」


お茶目か。


「うふふ、おじいさんたら可愛い人ね」なんて言いながらジーゼさんは笑ってるけど、そんな反応出来るの貴女だけですからね?


結局、残っていた群勢は今の一撃で一気に片付けられてしまった。

とりあえず王都が守られて良かったと思おう。


と、戦闘終了を確認したシュルツさんが他の騎士達と同様に驚いて固まっているレイナードさんに話しかけた。


「詳しい話は倒してからと言ってましたね。何があったのか説明してもらえますか?」


「あ、あぁ、そうだったね!」


慌てて剣を鞘に納めながらこちらを向くレイナードさん。

事の経緯を説明し始めた。


「あのコロシアムの後、早速ドラゴンへ違法薬物を使用した者を捕えようと主催者を問い詰めたんだ。だが、そいつも犯人の事はよく知らなくてね。黒いローブの男から薬を貰ったと供述はしたが、正体は知らないと言い出したんだ」


よく知らない男から貰った薬使ったの?

頭大丈夫かな。


「実際に薬を打ち込まれた魔物が言う事を聞くのを見て、薬の効果は信じたそうだよ。更に問い詰め、そのローブの男と取り引きをしている建物が森の奥にある事がわかった。そこで、斥候として1人の騎士に偵察に行ってもらったんだ」


そこまで話して、顔を俯かせるレイナードさん。


「暫くしてその彼から連絡がきた。その建物にはとんでもない数の魔物が居る。そして彼に気付いたローブの男が『王都を滅ぼせ』と魔物達に命令して建物も破壊し姿を消してしまったとね。その連絡を最後に…その騎士とは連絡が取れなくなってしまった。恐らく彼はもう…」


悔しそうにレイナードさんは「カルロ…」と呟く。

この魔物の大群相手に1人ではどうしようもなかったんだろうな…。


「建物も破壊したところを鑑みるに、その男が戻ってくる事は無さそうだが…とにかく調査は続けるよ。今回の討伐協力、感謝する!」


レイナードさんが礼を取り、他の騎士達もそれに続いた。

この騒動を起こした犯人は分からないが、取り敢えず依頼された魔物の討伐は完了したという事で俺達は王都へ帰還することにする。


まぁ後は、騎士団で解決してくれるよね!







「おぉー!リュー君ジゼちゃん待っとったぞ!こんなに早く討伐完了してくるとは流石は勇者達じゃ!」


城に戻った俺達を歓迎してくれたのは勿論先王様。

いや、先王様だけではなかった。


「父上から話は聞いている。お陰で王都は被害を受けずに済んだ。魔物の討伐、礼を言うぞ」


そんな風に言ったのは現王ジークマイヤー。

そう、この国の国王様だ。


いや国王様まで出てきちゃった!!

貴賓室に自ら来ちゃってるけど良いのこれ!?


そんなカチコチになってる俺達と違い、普通に応対するリュデルさん。


「なぁに、あれくらいならなんて事ないわい」


「流石だな。貴方達が勇者と呼ばれ始めたのも、街を襲ってきた大群を殲滅してからだと伺っているぞ」


昔にも同じような事してたの!?

しかもそれで勇者と呼ばれるようになったとは!


「それもまぁ昔の話じゃ。それに今回はワシらも頼み事があって来た訳じゃしな」


「ええ。だからお互い様よね」


ものすごい普通に話してるぞこの勇者達。

国王様って60歳くらいだっけ?

メルフローラの王様より威厳が凄い。

俺は不敬罪怖くて何も喋れないよ。


「あぁ、アビシフィカへの転移装置を使いたいんだったな。向こうの王の許可も得ないといけないから早くても明日になってしまうが…問題無いだろうか?」


「うむ、大丈夫じゃ」


「すまんのぉリュー君。本当なら国に害ある要石(かなめいし)などこちらで預かって破壊するべきなんじゃが…」


言いながら先王様は国王様と目を合わせる。

それから国王様は俺達にチョイチョイと手招きをした。

緊張しつつもみんなで近くに寄る。


「要石の存在が明らかになれば、破壊する前に研究するべきだと騒ぐ面倒な輩が必ずいるだろうからな」


あー、絶対居るよねそういう人。


「バレる前にお主らがサクッと行ってサクッと壊してきてくれればこちらとしても都合が良いんじゃ」


なるほどなるほど。


「王都を救った勇者達にアビシフィカへの転移装置使用許可を出してもあまり怪しまれないだろうしな」


確かに確かに。


「公式に要石の破壊報酬は出せんが、代わりに魔物討伐報酬をたっぷりかさ増しして出すぞい」


マジですかアザーっす!!

てか先王様と国王様って仲良いのね。

息ピッタリだ。


因みに護衛の人達は、この手の話を聞かれても問題無いくらい信頼の置ける人達なんだって。

なんか格好良いな。


「よし、それじゃあ今日は御馳走をたっぷり用意するからな!どうかゆっくり寛いでいってくれ!」


そんな先王様の宣言通り、その夜は豪華なご馳走が沢山並べられた。

最初は緊張したけどなんやかんやでいっぱい食べちゃったよ。


ご飯も美味しかったしお風呂もメチャクチャ広かったしお部屋も豪華でお布団フカフカ…お城の暮らしって最高だね!

でもって明日は海底の王国だ!

そっちに行くのも楽しみ!



そんな訳で、俺達は翌日に備え早めに就寝したのだった。






見てこいカルロ

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