第3話 日の丸組
「久しぶりだな。話せる個体は...」
頭から血を流した青年はポツリと呟いた。
シワだらけの白いシャツに黒いズボン、髪はボサボサであり、どこか幼い顔つきをした男はそこに立っていた。
「おい、そこの魔女。この夜を止めてくれ。」
「なぜだい?」
「人が死ぬからだ。」
「この夜は主人特製であって人は殺せないようにしているのよ」
「。。。」
「終わったなら出て行って夜闇くん。私は今久しぶりの主人を楽しんでいるんだから」
「。。。」
言葉で打ち負かされた夜闇と呼ばれた青年?は無言で下を向いてしまった。
急いで来たのであろう。靴が左右とも逆である。お気の毒という言葉しかでてこない。
突然、青年は顔をガバッとあげる。
「俺は日の丸組総大将の夜闇だ!!!! 今からこの夜の原因である魔女を捕縛、討伐させてもらおう。そこの少年は危ないので離れていてくれ!!!」
日の丸組。それは夜を晴らすという晴れ師で構成された日本最大級の組織であり、これまでにも東京百鬼夜行、鬼ヶ島事件などの最前線で戦い輝かしい功績を残しており、海外からの信頼も熱く、国際にも進出している。
その総大将と名乗る男がなぜここにいるんだ。そして本当に総大将なの、、か?
「私の楽しみを邪魔するクソガキは八つ裂きにしてあげるわ」
こっちもバチバチである。一時的にみせていた魔女の上品さは失われ、殺意を撒き散らしていた。
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辺りがより一層静かになり、夜が深まる。お互いが睨み合い一触即発状態でる。周りの木々には鴉が集まりジッと戦いの行方を見守る。そして、その時はあまりにも早く訪れる。
双方が動きをみせた瞬間のことであった。
「"星紡ぐ彼方の魔法"(ロスト・マジック)」
「"喪失と消失の魔法"(ロスト・マジック)」