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奈落の太陽  作者: 神崎ゆずる
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第1話 炎天下

「暑すぎる...」

 エアコンからの冷気の配給が止まり、部屋の中はサウナ状態と化していた。最後の希望であった買い貯めしていたアイスも底をつき、僕は外に出ることを決意した。

 僕の名前は、神崎ゆずる。春から高校生になったばかりのどこにでもいる一般人である。実家ぐらしで兄弟は兄と妹がいた。父は単身赴任中、兄は1人暮らし、妹は3年前に行方不明となっていた。そう、あの夏の事件のことである。今日と同じように蒸し暑く、蝉の声が鳴り止まない日のことである。財布と携帯を持ち、コンビニへと僕は気だるそうに向かった。さっきのお話の続きをはなそう。なんの話?もちろん、あの夏の事件の話のことだ。


----------------------- 2025年8月5日----------------

「夜張町 喪失の魔女事件」

死者:4771人 (その他の町などでの被害者を含む)

重症:34779人 (特殊分類の病も含む)

軽傷:489920人 

行方不明:8594人以上



3年前にあった人夜事件である。


古来から日本に存在する災害の一つである「人体から闇が溢れる病」という闇のように周囲が暗くなる現象を僕たちは「人夜」と呼び、この最新技術が発達してる今の時代でも対処方法が数少ないものである。

その中でも、唯一「人夜」を対処し現象を止める手段として、

「晴れ師」という人を超越する力を持つ者たちが立ちあがる。

彼らが持つ、「夜を晴らす」という力で今までの災害を乗り越えてきた。しかし、この事件は違った。普段の人夜事件では、晴れ師内での被害は多くて数人、稀に数十人という数値であったが、「喪失の魔女事件」では約数千を超える晴れ師が殉死、身体の欠損や植物状態というまさに地獄絵図のような被害がでた。

 その「人夜」が何が恐ろしいかというt、そう考えているうちに僕はコンビニにつく。お気に入りのアイスとジュースをカゴにいれ、レジに向かう。途中にあるスイーツコーナーに目が止まる。 「お兄ちゃん、これ私好きなんだよね、買ってよ」

黄色の生地と大量の白いクリームで塗られたショートケーキがそこにポツンと1つ売れ残っていた。クリームが嫌いな僕はそれをカゴにいれ、レジを済ます。そして、また暑い世界へと足を踏み出していった。


       なにかおかしい



....暑くない?  いや、むしろ涼しいとも感じられる。

空の太陽がだんだんとボヤけ、薄暗い雲と空気に取り込まれる。蝉の声が3年前の記憶を呼び起こす。不安とグニャリと世界は曲がる感覚に包まれ、全身から冷や汗がでる。

耳に当てていたイヤフォンや町の放送局からアラームが強く響く。


僕は知っている、この感覚を。3年前と同じように太陽がボヤけ、闇を連れてくるこの現象を。





-----------------------2028年8月5日-------------------

レポート

場所:夜張町


13時32分43秒

・2度目の「喪失の魔女」の再来を確認。

13時33分5秒

「人夜」発生を確認。



「久しぶり」














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