嘘と真実
遡るは、前の国王がこの国にお生まれになった時。
元気な男の子がイルフォードに授かった。名は「キリス」
王家に子が生まれると、国の繁栄を祈り、占師により占われる。キリスの時も一つの予言がされた。
太陽と星が交わりし時、この国の未来は光へ続く。程なくして、星の国と言われる「セレニア」に姫が生まれた。
それが、シルバーだった。
二つの国は協定を結び、キリスとシルバーは婚約させた。
そしてキリスが18の時、シルバーはアルシャラ皇帝に捕らえられた。キリスは天女と協力してシルバーを救い出した。
ここまでは、誰もが知っている。
隠された事は、助け出されたシルバーのお腹には子が宿っていた。アルシャラ皇帝の側近、「エルクレス」の子。
キリスが旅を共にした茉莉花と恋をしたと同じく、シルバーは捕らわれの身のうちにエルクレスと恋に落ちた。
戦いが激戦になるに連れ、アルシャラ帝国は劣勢へ追い込まれた。
そして、敗北を悟った時シルバーだけでも生き残らせ様と、エルクレスによってシルバーはイルフォードへと逃がされた。エルクレスはアルシャラが滅びた時に、共に亡くなった。
シルバーはセレニアに帰っても父親の事は誰にも言わなかった。一人で生んで育てるつもりだった。
唯一打ち明けたのが、キリスと茉莉花にだった。
周りからは、シルバーと茉莉花は仲が悪いと思われていたが、二人の関係はその逆だった。
父親を隠し育てていく事の難しさ。
「セレニアの王、その子は私の子だ。婚前に授かったから姫は私を思い言い出しづらかったのであろう。」
キリスはシルバーの子を自らの子とし、シルバーを正室に迎えいれた。
茉莉花はみんなの幸せを願っていた。
これから棘の道を歩くのが見えてるシルバーを見捨てて自分だけ幸せになる事は出来なかった。
キリスはそんな茉莉花の願いを叶えてやりたかった。
シルバーにとって、形だけの正室になろうと子供の未来だけは幸せにしたかった。
みんなで幸せになるために考えた最善の答えがそれであったが、運命は狂いだした。
複雑な気持ちが絡みあい、最初の嘘だった。
程なくしてシルバーは男の子を産んだ。
「クロウド」と名付けた。シルバーによく似た、銀色の髪の子だ。キリスはその子に王位第一継承権を与えた。
そして、茉莉花は女の子を二人産んだ。「アマギ」と「アキヒ」二人とも、茉莉花によく似た愛らしい女の子。
男の子を産むと、いくら継承権がクロウドにあるからといっても後々争いが起きるかもしれない。
茉莉花は女の子を産んでほっとしていた。
問題は、三人目だった。
茉莉花が産んだ三人目の子はキリスにそっくりな金髪で緑眼の男の子だった。
男の子の背には、刻印の様なアザがあった。
そのアザはキリスが運命に逆らった日に出来たアザにそっくりだった。
いつか心臓をくらい尽くしそうな禍々しい黒いそのアザ。
キリスの背中のアザはなくなり、息子にと刻まれた。
まるで、呪いが受け継がれたの様に。運命に逆らった見せしめの様に。
茉莉花は息子の幸せを願い、息子は死産したと皆には伝え、息子を連れて王宮を後にした。
それが2つ目の嘘。
火(太陽)の皇子書き「煌」と名付けた。
「そうだ。俺の正式な名は煌。」




