真実3
ベルがクローゼットの中で騒ぐ物だから、二人に気付かれてしまった。
「誰だ!!」
アマギを背に隠し、殺気立つ。腰に備えた剣に手をのばし、今にも斬り込まれそうな張り詰めた空気。
「だから言っただろう。」
キラはぁとため息をつきながら、ぼそっと呟いた。
クローゼットの扉を開け、キラが先に出て行く。
「キラか?」
キラはクロウドと目が合うとコクンと頷いた。
「後ろには誰がいる」
キラを通り越し、クローゼットを鋭い眼をつきつけてる。
殺されると本能が感じた。足が震えて動かない。ベルはその威圧感を肌で感じ、クローゼットから踏み出せなかった。
「陛下、あまり威圧しないで頂きたい。大丈夫だから出ておいで。」
いつもとは正反対に穏やかな優しいトーンの声でキラに呼ばれた。震えは少し和らぎ、差し出されたキラの手を掴みクローゼットから顔を出した。
「姫君?」
「ベル?」
クロウドとアマギの驚いた表情。何故ここにいるかと言う表情。
「陛下、申し訳ございません。勝手に入って」
「これはどういうことだ?」
「見ての通りです。」
キラはベルの腰に手を回すと、体を引き寄せた。
「きゃっ──」
「人目につかぬよう会っていたのですが、見つかっては言い訳のしようもないです。」
「ききき」
ベルが言葉を発するのを阻止するように、回した腕に力が入り、ぎゅっと抱き寄せられる。口をパクパクするが、恥ずかしさの最高潮になり何も言葉が出てこない。
「いつの間に、二人はそんな関係に」
「アメジストの姫といつの間に」
アマギとクロウドは同時に同じことを発した。
「待って!!キラはアマギの事を好きなんじゃ!!?」
え?といわんばかりに、キラ、クロウド、アマギの三人は顔を見合わせた。
「ふふ。それはないわ。」
なんか全然理解出来ないが、話が変な方向に進んでる。
「私が何を言っても、こんなに想っているのに、アマギ様の事を疑われ信じて貰えないのですよ。」
「想────うぐっ」
黙ってろと言わんばかりに抱き寄せられた。顔がキラの胸に埋もれ、何もしゃべれない。
───苦しい。息させて!!!!
「彼女は大丈夫。だから、この国の真実を、私達の真実を話してもよいですか?」
クロウドは悩みながら、アマギとキラそしてベルの事を見ると頷いた。
「キラ、お前が見初めた女性ならば大丈夫だろう。全ての権利はお前にある。ただ、後で私の部屋にくるように。」
「ありがとうございます。」
クロウドはアマギの手を取ると、部屋をあとにした。
「ちょっと、今の何!?」
二人が部屋からさると、やっと腕の中からベルは解放された。
「しかも、あたしとあんた恋仲にされたんだけど!!」
赤面しながら吠えるベルにキラは少し楽しげだった。
「いやか?別に俺はかまわんが。」
「ひょえ!?」
「別に真実にしてもいいと思っている。俺はお前の事を結構気に入ってるし」
「なななな何をご冗談をっ」
「冗談なんて、言わないが?」
確かにキラは冗談を言うタイプでないのはわかる。だとしても、いきなり何を言い出す。
「いや、だってキラはアマギがすきなんでしょ?さっきは陛下の手前言えなかったのでしょう。」
恐る恐るベルは顔色を伺いながら聞く。
少し間が空いてから、キラは答えた。
「はぁ───さっきから戯けた事を言っているが、あれは私の姉だ」
そっかぁ。姉様だったかぁ!!って!!
「─────────えーーっ!!姉様!!?」
「うるさい。大声をだすな。」
ベルは口を両手で抑える。
キラは引き出したもう一枚の写真をみせた。写真には、キラにそっくりな金髪緑眼の男性が映っていた。
「先帝キリスだ。」
ベルは写真とキラを見比べたが、本当に生き写しくらいにそっくりだった。
俺の父は先帝。母は天女。そして、二人の姉がいる。
そして、いなくなったはずの天女はまだこのイルフォードにいる。
天女がまだ国にいる?
「どういう事───?」
天女は消えたわけではない。神の加護を失った訳でもない。天女と呼ばれた娘は実はただの娘だった。
そう、自ら姿を隠したのが真実。




