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真実

幼い頃私は雨露の力が無かった。雨露の力は王家に伝わる力。

人によって遺伝した力が強かったり弱かったりとはあったが、全く力を持たず産まれて来た子供は私だけだった。


心ない人は私の事を、父の子ではないのではないかと疑った。母が命を賭けて産んだ命だったのに、アメジストにはいらない命だったのだろうかとかなり悩んだ。




雨露は人と大地を繋ぐ力。


「ベル、草木は好きかい?」

「うん。」



国一の雨露の使い手の祖母は、私にいつも才があると言っていたが、力がないのに才がある意味がわからなかった。

私に力がないのは、望まれた男の子に生まれなかったから?それとも母の命の代償に生まれてしまったから?

そんな事を思っていた。


雨露の力が宿ったのは、ある出来事のおかげ。

その事で、自分は存在していいと思えるようになった。

後々考えると、きっと私は「自分を蔑ろ」にしていたから雨露の力が眠ってしまっていたのだろう。



父の子で母の子であると誰からも認めて貰える。

私は嬉しくて涙が止まらなかった。

その日から決して後ろ向きにならないと決めた。前に進もうと。







―――――――――――――――――――――

 

目を覚ますと、フカフカのベッドに寝ていた。

その日のうちにベルは城に戻ったのだった。


「民に顔を見せてこい。それが民の生きる活力になる。」と戻る前にキラは村人達に挨拶するのを許してくれた。

村人達はベルの無事な姿を見ると、歓喜のあまりに涙を流す者も出た。



「村が、、、こんなごめ、、」

「謝らないで下さい。私達はあなたに救われたんです。家は無くなったけれど、人は生き、泉と言う生きる場所を与えてくれた。」



村長の言葉に村人達は同調していたが、ベルには理解しがたかった。ただ、笑顔がある村人に対して「不幸」なんじゃないかと思う事自体失礼な気がしてベルは笑顔を繕った。


「また来ます。泉をよろしくお願い致します。」

そう告げて村をあとにした。



――――――

ベルはベッドから起き上がり、支度を始めた。

鏡を見ると、昨日赤くなった頬はすっかり元に戻っていた。すっごく痛かった記憶があるが痕は全く残らなかった。

なんだかんだ言っても、キラは手加減していたのだろう。



「覚悟があるなら、まず俺の所に来い。」

あの時言われたキラの言葉が、何回も頭の中で木霊する。

何を覚悟したらいいかなんてわからない。


けれど―――。「ここまで来たら、もう引き返せないよね。」

「よしっ」と気合いを入れ直すと、白の薄手のワンピースに袖を通した。




迷惑かけたし、色々とやらなきゃいけない事だらけだ。

まずはキラと話をしにいこう!!

 


支度が整ったので、勢いよく部屋から出ると、見かけない顔のメイドと会った。


「姫様、お初にお目にかかります。」

「始めまして!!アメジスト第三王女ブルーベルです。」


忙しく働いているメイド達は沢山いたけれど、回りを見渡すと、どのメイドも初めて見る顔な気がする。



「増えた?」

「いえ。姫様の宮のメイドは入れ替わりましたので、いたらぬ事はあるとは思いますがどうぞよろしくお願いします。」



――――――!?


「なんで?」

「……………。」

メイドはそれ以上は何も答えなかったが、全てを感じとれた。




ベルが城を抜け出した責任をとったのだろう。自分のかってな行動がこんなに人を狂わす。いっその事、責め立ててくれれば楽なのに。誰も責めはしない。





駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だマイナスにならないって決めたんだ。してしまったことは元には戻らない。過ちを繰り返さないようにいかにこれから最善をつくす。

落ち込んでないで、詫びて、どうしたら良くなるか模索するしかない。



「キラはどこにいますか?」

「キラ様は確か、兵訓練を行いそのあと神殿の方で会議に出席なさってるはず。」

「そうなんだ。」



じゃあ、キラに会うには会議の後が狙い目だ。

急いで神殿に向かうと、扉の反対側なのに、重々しい空気が漂っていた。神殿の中央にある大時計のカチコチなる音以外はせず、静まり返っていた。



「私、この空気苦手だ。耐えられるかな。」

とりあえず、扉の前で待ってると怪しまれると思い、柱の影に隠れて待ってみた。



「キラに会ってそしたら」


アマギにも会わなきゃいけないし。国王陛下は嫌な奴だったけれど会わなきゃだめだよね。

ブツブツ呟いていたらいつの間にか周りがザワザワ慌ただしくなった。会議が終わったのだろう。



扉が開いていて、中から人が沢山出てきていた。

キラの姿は―――いない?


「会議に出てなかったのかな?」

身を乗り出して探そうとしたその時、後ろからガッと肩を掴まれた。思わず声を上げそうになったのを、口を抑えられた。



「何してんだ!!こんな所で」


聞き覚えのある声に顔を見ると相手はキラだった。キラはベルが声を上げないのを確認すると手を離した。


「ビックリさせないでよ。」

「何してる!!」

「あんたと話をしにきたんでしょ。」

「………。」

はぁとため息をつくと、キラはベルの腕を掴んだ。



「こっちこい。お前は、なれない気候で体調を崩してる事になってるんだ。元気に走り回ってる姿でも見られてみろ!不信がられるだろう。」


なかば強引に連れて行かれる。

人目を避けながら通路を神殿の奥に回る。ちょうど神殿の真裏側にあたる位置に、階段があった。

その階段を三階分くらい登ると、一つ部屋があった。



キラに連れられ、ベルはその部屋に入った。


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