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帰りたい

 

なんなんだなんなんだ本気でムカつく。

要は結婚したくないけど、自分からしないって言うとイルフォードが悪くなるから私に言わせようとしてるって事!?

ちっせえ男!!!!

口数少ないクロイドの言葉を解釈すると、ベルはそう理解した。



自分の部屋に戻ると、バタンドタンと大きな物音を立てて、荷造りを始めた。

メイドたちはそんなベルを止めることも手伝うことも出来ず、どうしていいのかただオロオロと部屋の前に立っていた。



「ベル」

メイド達を下がらせ、アマギは心配げに部屋にやってきた。アマギには仲良くして貰ったから目を合わすと気持ちが揺らぐと思い、目を合わせず荷造りを続ける。


「アマギ、短い間だったけれどありがとう。私、国に帰るから。」

「急にどうしたの?陛下と何かあったの?」

「…………。」



ベルは言おうか迷ったが、アマギは唯一イルフォードに来て良くしてくれた人だから理由を伝えた。



「――――そんな事いわれたんだよ!」

話終える頃には、アマギの顔は見る見るうちに青ざめて、今にも倒れてしまうんではないかと思うほどだった。

 

「アマギ?どうしたの?」

「あああ……」


絞り出すその声は今にも消え果てそうだ。



「ごめんなさい……ごめんなさい……」

泣いているのだろうか―――?顔を手で覆って必死に謝り続ける。


「アマギ?」

ベルはアマギの腕を掴み、真っ直ぐに目を見つめた。


「どうしたの?」

「陛下は悪くないの」



謝り続けるアマギにベルが痺れを切らした。



「謝って欲しい訳じゃないよ。アマギに怒ってる訳ないし。私はただ、ハッキリ言って欲しかっただけだから。」

「………………全て私が悪いの……………。」

「だから―――。」



「やめないか。」

ビリッと空気が揺れるような一括で、キラが止めにはいった。

 

「アマギ様、部屋に戻ります。歩けますか?」


キラはアマギの手を取り、支えるように抱き起こした。

チラリとベルを見たが、冷たく凍りつくような眼差しだった。



「何よ!!」

「別に。帰るなら、早く帰れ。」

「なっ―――」



何なんだよさっきから。みんなして。


「言われなくても帰るよ!!」


ベルの声が部屋に木霊するも、キラは全く聞いてないように部屋を後にした。




「私が、何したって言うの。アマギもキラも少しは仲良くなれたと思ったのに」


ベルが踏み込めないように、最後は壁が張られている。

アマギもそうだ。何か突っかかっている物があるのがわかる。吐き出せばいいのに、溜め込む。

真っ直ぐにしか進めない、ベルにとって理解しがたい事だった。

 

ベルは大急ぎで荷造りを始めた。もうこんな所に一秒たりともいたくない。



「ああっ!!何で入らないの。」

来たときに詰めていた箱に入れているのに、上手くはいらない。



「物、全然増えてないのに!!」


ボスボス叩きながら押し込むが、全く蓋が閉まる気配がない。ただでさえ、片付けが苦手なのにイライラしてるから余計にだ。



「もういいっ。箱のくせに!生意気だわ!!」

箱に捨て台詞をはき、ふて寝をする。




「…………ん……」

「…ん………………」

「あぁッッ駄目だ!!」

イライラしすぎて眠れない。



「森に行きたい。」


ベルは植物を求める様に、部屋を後にした。

王宮をウロウロとさ迷い歩く。



「はぁ……。」



わかりきっていたけれど、隈無く探し回るが椰子しかない。後は全くない。宮廷内の緑もそれは人工的な物で、命はなかった。

そっと触っても、返事がない。囁きかけても何も返ってこない。造り物はあくまで造り物で、本物ではない。



可哀想な国。




「森………。」

森に帰りたい。緑に逢いたい。木々に触れたい。空気に包まれたい。

ベルは森に行きたい一心で、使用人達の目をかいくぐり、城を抜け出した。


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