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リュイとライラ

王宮を出て、協会に向かった。協会に着くと、子供達の声がキャッキャと響き渡っていた。相変わらずの晴れ晴れとした天気なので、庭で元気よく遊んでいる。


「ヤホー!!」

元気よくベルは子供達の輪に入って行った。


「ベル、こんにちは!」

キャメルが一番最初に気付いてやって来た。それに付いてボルとシェリー、ライラも来た。


「ベル!!」

「ベルだ!」

「いい匂い……」

ライラが鼻をクンクンさせながらバスケットを覗き込む。


「お菓子作りすぎたから、お裾分けだよ!!」

バスケットにめいいっぱいつめこんだシュークリームを差し出すと、子供達は目を輝かせながらベルを囲んだ。


ライラがシュークリームに手を伸ばそうとしたその時、そんなの食べるな!!」と奥からリュイが叫んだ。リュイはライラの元に歩いて来て、腕を掴むとキッと周りを睨みつけた。

「ライラ行くぞ!お前らなんかさっさと帰れ!!」


前回の反抗期的な突っかかりではなく、それは全てを拒絶するように、ピリピリとベルたちを拒絶した。突然の事にわけ分からなくなっていると、アルノン新婦がリュイを追いかけ様に中から出てきた。


「ベルさんすみません、リュイが、、、。」

「なにかあったんですか?」


いつも落ち着いた神父さんが、今日はとても慌てていた。神父に尋ねてみたが、困った顔をし教会の奥へと案内された客間に通された。込みいった話になるだろうと、気を使ったのか、キラは外で待っていた。

アマギとベルは椅子に腰掛けると、アルノン神父はハァとため息をつく。


「どうぞ。お口にあうかしら?」

アルノン神父の奥さんがお茶を入れると、アルノン神父はお茶を啜りながら、話し始めた。


「実は、、、。」



リュイとライラにはちゃんとご両親がいた。

では何故孤児院にいるかというと、父親の暴力、虐待のせいだった。母親は父親に逆らう事が出来ず、子供達が殴られているのをただ見ている事しか出来なかった。


「ごめんなさい、リュイライラ、、、母さんが弱虫で。必ず迎えに来るから。」



助けてあげられない。母親は不器用な精一杯の愛情で、孤児院に二人を託したのだった。

キャメル・ボル・シェリーの三人は箇々に理由は違えど、両親共にいないからこの孤児院で暮らして行く覚悟が出来ている。

神父は子供達を自分の子の様に愛していた。勿論、リュイやライラの事も同じ様に。

ただ他の子と違うのは、リュイにとっての希望は母親が"いつかは"迎えに来てくれると言うことだった。


「その母親が昨日亡くなりました。」


子供達と1日でも早く暮らせるようにと、自立しようと時間を惜しむ事なく働いた。無理が祟り過労で倒れ、満足に治療に行くお金がなかった。

そこにとどめを刺すかの如く、日照りが続き弱った体には辛く命を落とした。



「なんとも悲しい事です。頑張って生きているものが。神は私達を御見捨てにならられたのか。」

アルノン神父は俯きながら、涙をこらえていた。

リュイには隠しておこうともしたが、これからライラを守るのは、リュイの役目。そう思い、神父はリュイに包み隠さず話した。


「ごめんなさい。私のせいです、、ね。」

アマギが今にもで消えそうな声で呟いた。アルノン神父ははっと気付き、慌てて訂正した。

「いえ、決してアマギ様の事では御座いません!!」


アマギはニコッと微笑んだが、悲しげな表情でこちらも切なくなってしまいそうだった。



「アマギ?」ベルはアマギに声をかけるが、微笑むだけ。

そして「一人になりたいから」と言ってアマギ部屋を後にした。



残されたベルとアルノン神父は微妙な空気だった。

「アマギも何かあったんですか?」

「あ、いえ。私には、、。すみません。」


思い切って聞いて見たが誤魔化された。これ以上神父に聞いても、答えは返ってこないだろう。だからこの話はここまで。だけれどなんか釈然としない。

聞くなって空気は分かる。けれど気になるものは気になる。隠されると、余計だ。


あーもう駄目だ。ベルは頭をぐしゃぐしゃ掻きむしる。


「ベルさん?」

アルノン神父はベルの行動に驚き、顔を覗き込んだ。


ウジウジ悩んでるなんて性に合わない!!!!しみったれた空気もだ。ベルは出されたお茶をプハッと一気に飲みほした。カップをテーブルに置き、「ヨシッ」と気合いを入れる。

そして、アルノン神父を真っ直ぐ見つめ直した。


「私、リュイを探してきます!!」


アマギの事も気になるけれどまずは、あのチビを何とかしてからだな。

「ごちそうさまです」と深々と頭を下げ、そのままガタンと立ち上がると勢いよく部屋を立ち去った。



アルノン神父は、ベルの勢いに呆気にとられ呆然としていた。

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