恋?
鬼の様な形相にベルは怯む。ジリジリと間合いを縮めるキラに、どこか逃げる場所がないかベルは頭をフル回転させた。
「お前は、勝手に外に出るなとあれほどいっただろう」
「いやぁつい。でもアマギも一緒だしいいかなぁと。」
「いいわけないだろう。」
怒鳴る事はないが、静かに怒っているのが余計に怖い。
確かにわたしが悪いとは思うけど、そんなに怒る事ないじゃない。口にしたら火に油を注ぎそうだから頭の中で言い返しといた。
「キラ、私が連れ出したのよ!そんなに怒らないで。」
キラの存在に気付いたアマギは慌てて二人のそばに来た。ささっとベルはアマギの後ろに隠れた。
「アマギ様、貴方も外をあまり出歩かないで下さい。何か遇ってからでは遅いんですよ。」
「そうね。ベルを連れ出すにもキラに相談すればよかったよね。気をつけるわ。心配してくれてありがとう。」
アマギが反省と感謝をキラに伝える。アマギの笑顔にキラも少し穏やかになった。
あの男もアマギには弱いのね!ん、でもこの空気まさか!!?
ちらーっとキラの顔を覗き込み様子を伺う。
「なんだ?」
「いえ。」
やっぱり!!やっぱりそうだ!!キラはアマギが好きなのね!!アマギに対してだけ態度が違うもん。姫と従者の恋。物語みたいで素敵だ!!むふふ
一人百面相をしてるベルに気付き、キラの眉間の皺が濃くなり不機嫌が余計に不機嫌になった。
「わかってるのか!なんだ?ニタニタして気持ち悪い」
「気持ち悪いってあんた!!」
「キラ、女の子に向かってその言い方はだめでしょ。もっと優しくしなくちゃ!」
「………はい。」
ベルには確実言い返すだろうに、アマギの言葉は素直に聞き入れた。あぁ。やっぱり二人の間には何かあるのね!
両思いかしら。まさかキラの片思い!!?
自分の色恋は面倒くさいし、興味ないけれど、人の恋路は嬉しくなるね!!!!
仏頂面の男もアマギの様な天使?女神?には敵わない。
「キラにも人間の感情がちゃんと合ったんだね!!」
そう思うとニマニマが最上級になる。
「はぁ?俺は人間だが?いや、もぅいいや。」
キラは眉間のシワはそのままで怪訝な顔をしたが、面倒くさくなったのか「兎に角危ない事だけはやめてくれ。」と言うとそれ以上は何も言わなかった。
「アルノン神父、迎えが来たので今日は戻りますね。」
「はい。いつも有難うございます。気をつけて下さいね。」
アマギが丁重に挨拶をすますと、帰る支度を始めた。教会の前には子供達が並び、手を振っている。名残惜しそうに手を振り替えし、教会を後にする。
「ベル連れ回しちゃってごめんなさいね?」
「いや、楽しかったし!」
「ふふ。よかったわ。またいきましょうね!」
「アマギ様、あまり甘やかさないで下さい。図にのりますから。」
「図に乗るって!!乗らないわよ!!」
ボスッと背中にパンチを繰り出す。キラは猫パンチぐらいにしか思ってないだろう。悔しい。
そして、その日はキラに連れられて王宮へと戻っていった。




