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第270話 とある演習の前哨戦:中三



 ディオーネ対パオラの試合はディオーネの勝利で終わった。


 正直『霧化』の使い勝手の良さに驚いたんだけど……それ以外にもディオーネはパオラに何かをしていた筈だ。


 決着がつく直前、パオラの放った矢が水球を貫けず弾かれていた……アレはもしかして……。


「ディオーネは見事でした。己の持つ力を十全に発揮して勝利を収めた。パオラも油断はしていなかったでしょうが……上手く嵌められましたね」


「そうだな……」


 パオラは性格的に油断なんか絶対にしないだろうしな。


 しかし……ディオーネか。


 吸血鬼っぽいアビリティを詰め込んだ子だけど……持っているのは『霧化』の他には『吸血』『眷属召喚』『魔眼』『夜の理』だった筈。


 『吸血』は近接物理攻撃時に与えたダメージの五パーセントくらいを回復できるアビリティ。


 魔法職であるディオーネにとっては全く役に立たないものだ。


 『眷属召喚』は蝙蝠か梟か犬か狼をランダムに召喚して、戦闘中に攻撃をさせるアビリティ。


 どれを召喚しても、自分の行動時に微ダメージを追加で入れるだけの微妙過ぎるアビリティだ。


 『魔眼』は相手の能力値をほんの少しだけ下げる……確か一割未満だった筈……そんなアビリティ。


 下げ幅が微妙過ぎる上、パッシブではなくアクティブ発動なので、普通に幻属性のデバフを使う方が効果が高いという残念アビリティだ。


 『夜の理』は夜に能力が上がって、昼は能力が下がるアビリティ。


 しかし、上昇値も下降値も大した数値ではなく、ほぼ誤差の範囲なので、昼に戦おうが夜に戦おうがあまり効果は実感できない。


 ……キャラ付けだけで、微妙なアビリティを大量に放り込んでしまったディオーネには申し訳なくなるな。


 それはそうと、恐らく今回ディオーネが使ったアビリティは『魔眼』だろう。


 ゲーム時代は気持ち程度に能力を下げる効果だったけど、恐らく試合開始直後にこれを使いパオラの能力を下げたに違いない。


 しかし『魔眼』はほんの少しだけ能力を下げるって効果だった筈。


 試合の最後の方でパオラの放った矢が水球に弾かれていた……あれは恐らくパオラの攻撃力が下がり過ぎたせいで水球を貫くことすら出来なくなったということだろうけど、ゲーム時代の『魔眼』はそこまで対象の能力値を下げることはできなかった。


 効果が強くなったのか……それとも重ねがけみたいなことができたのか?


 そこでふと、試合中にキリクが納得したように呟いていたことを思い出した。


 そういえばあの時……ディオーネが『アイスウォール』で矢を防いでいたんだっけ。


 あの一撃……それ以前の『霧化』で避けていた連射とは違い、一撃の威力を重視した攻撃だった。


 しかし、ディオーネの氷の壁はその一撃を完全に防いでいる……本来であればあの一撃は『アイスウォール』では防げない……威力を減衰させるのが精いっぱいだった筈。


 それを完全に防いだ。キリクはその時点でパオラがディオーネの『魔眼』の影響下にあると気付いたのだろう。


 く、くそぅ、俺もそのタイミングで気付いていれば……。


 ……ま、まぁ、キリクに張り合っても仕方ないよね!


 それよりも、ディオーネだな。


 後の展開を見るに『霧化』発動中は自分から攻撃ができないって感じなのかな?


 だからこそ、パオラの攻撃力を削いで多少攻撃を受けても問題ないレベルにしたのだろう。


 いや、攻撃力だけじゃない。


 パオラは最終的に足を止めて攻撃を続けていた……アレは恐らく移動力もディオーネから逃げられないくらい下げられていたということだろう。


 いや『霧化』と『魔眼』のコンボ……かなり凶悪だよな。


『霧化』によって攻撃を受けないようにしながらしつつ、相手の能力を下げる。


 そして相手を弱体させきってから攻撃に転じる……か。


『霧化』による攻撃の無効化がどの程度の攻撃まで無効化できるかわからないけど、自分の持つ能力をしっかり活用したディオーネの見事な勝利ってことだな。


 というか……ディオーネ強すぎないか?


 純粋な火力はカミラの方が上だけど、対人戦では火力過多だからな……一対一ならディオーネの方が強いかもしれない。


 アビリティか。


 俺自身も鷹シリーズみたいにゲーム中とは使い勝手が異なるものを持っているし、ゲーム中は微妙だったとしてもかなり便利に使えるアビリティが増えているかもしれないね。


 でも……倉庫や宝物庫のアイテム並とまではいわないけど、かなり数が多くて検証できていないものが多いんだよな。


 なにより新しくアビリティを覚えるには魔石がかなり必要だし……今度アビリティを所持している子たちに協力してもらって、色々実験してみるか……?


 いや、聞き取り調査から始めた方が……。


「副将戦を始める!代表者前へ!」


 そんな事を考えていたら副将戦が始まろうとしている……中々忙しいな。


 代表者は……アランドールとリオか。


 二人ともオーソドックスな近接物理タイプ……アランドールは剣兵でリオは槍兵。


 ゲーム的な相性はほぼ互角だけど、つい今しがたディオーネが相性を完全に逆転させたりしてたし、その辺りはあまり当てにならないかもしれない。


 でもまぁ、二人とも個人技っぽいアビリティとかは持ってないし、多分初戦のジョウセンとレンゲの試合みたいなガチバトルって感じの試合になるだろう。


 そして同時に、大将戦がシュヴァルツ対サリアに決まったわけだけど……こっちもどうなるかねぇ。


 ゲーム基準ならサリアの勝ちだけど……今の試合のように番狂わせもあり得るか?


 まぁなんにしても、現在の戦績は互いに一勝一敗一分。


 予想以上に均衡した戦績になっているけど、アランドールとリオの試合の結果次第では、どちらかのチームの勝利は消える。


 ここで負ければ、例え大将戦に勝ったとしても引き分けにしかならないからね……ってそういえば、そうなった場合はどうするんだ?


 その辺キリクは何も言ってなかったよな。


 何か考えているのかな?



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