ワンコ転生
異世界転移ファンタジー作品短編部門に日間最高53位、週間最高199位にランクインさせていただきました。
三年以上前の作品で今思えばたいへん不謹慎なネタで申し訳ない気持ちですが、閲覧してくださった皆さま、本当にありがとうございます。
ゲラゲラコンテスト応募作品です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
ボケ 全知全能の神(以下神)
ツッコミ 俺
俺「は、ここはどこだ?あたり一面、白いモヤが……俺は一体どうしたんだ?」
神「気がつきましたか?」
俺「あなたは?」
神「私は全知全能の神です。」
俺「全知全能……?はっ、ここは、もしや。」
神「そうです。あなたは集団登校中の児童に突っ込んで来たトラックから……」
俺「子供を守るために犠牲になったんだな。」
神「いいえ、トラックからこぼれ落ちたリンゴを拾おうとしたおばさんが自転車を停めた拍子に、ゴミを出しに来た奥さんがゴミの分別が間違っているのをおばさんに見つかってこっぴどく叱られ逆上し、たまたま手にしていた出刃包丁でおばさんを刺そうとしたところを通りかかった警官に取り押さえられ危うく事なきを得ました。」
俺「そうか、よかった。ゴミ出しマナーはトラブルのもとだって、いや、待って?俺、出てきた?あと、児童は!?児童、大変じゃん!」
神「まあまあ。」
俺「まあまあじゃないだろ!」
神「どこの馬の骨とも知れない児童の心配よりご自分の心配をなさったらいかがですか?」
俺「全知全能、冷たいな。」
神「まあまあ。
そんなわけで、そのニュースが毎朝経済新聞の朝刊の社会面に載ったのですが」
俺「ほう」
神「その新聞にくるまって凍死していたホームレスがあなたです。」
俺「そういえば、新聞紙の感触がまだ……って、ブラックすぎる!大丈夫なのか?」
神「まあまあ、これくらいならまだ大丈夫です。」
俺「どうかなあ、近年は色々うるさいからアウトじゃないか?」
神「わかりました、じゃあ設定変更。あなたはロ……」
俺「わかった!もういい、もう喋るな。」
神「でもウ……」
俺「ごめん、俺が悪かった!それ以上は本当にやめて。いらないから、社会風刺いらないから!俺、ホームレス!ホームレスな!」
神「わかりました。まあ、そんなわけで、あなたの魂は恋愛シュミレーションゲーム『悪役令嬢と7人の貴公子』の世界の……犬に転生します。」
俺「ほう、犬?使い魔か何かか?」
神「いいえ、ただのワンコです。」
俺「え、微妙。」
神「村をウロウロしているワンコです。Aボタンを押すと『ワン』と言います。」
俺「いや、それ聞いても微妙。他にはないのか?勇者とか。」
神「嫌なら、ゲジゲジ。」
俺「ゲジゲジ?」
神「ワンコか、魔法学園の男子便所にいるゲジゲジのどちらかに転生できます。」
俺「それ全然二択じゃないだろう。まあ、いいや、なら、犬で。しかし、俺が犬に転生したら、犬の魂はどうなるんだ?」
神「ご心配なく。ワンコの魂は熱病で亡くなった主人公の公爵令嬢に転生します。」
俺「え、そんなピストン式なの?ていうか、俺、そっちが良い。公爵令嬢がいい。そもそもワンコ介す必要あるの?ワンコ迷惑じゃないか?」
神「嫌なら、ゲジゲジ。」
俺「うっ。」
神「男子便所のゲジゲジ。セリフなし。静止画像。」
俺「くそ、わかったよ。じゃあもう良いよ、犬で。あと、あれだ、チート能力とか備わるのかな。ほら、よくあるだろ?こっちの世界では珍しくも何でもないスキルを引き継いで、ファンタジーの世界で大活躍するようなのが。」
神「まあ、良いでしょう、私は全知全能です。」
俺「おお、よろしく頼む!」
神「それで、あなたの生前のスキルはと、ふむふむ、おお、これはすごい!
ではあなたにチートスキルを授けます。あなたは新しい世界で、」
俺「お、おう!」
神「円周率を小数点以下約3000桁まで暗唱できます。」
俺「いや、いらんし!」
神「ワンコに近づいてAボタンを押したら『3.1415926535897932384626433832795028841971693993……』」
俺「やめてやめて、文字数稼いでると思われるから!」
神「では、素数を……」
俺「いらんし!」
神「ワンコに近づいてAボタンを……」
俺「もういいわ!」
【おわり】
お読みいただきありがとうございました。
異世界年の差恋愛ものも書いていますので、他の作品も読んでいただけたら嬉しいです。




