3. スブリムと古代魔術
ようやくスブリムに着いたので、ここでやることをまとめようと思う。
1.冒険者試験の登録をする。
2.宿を探す。
3.新たな魔術を作る。
まず1は、冒険者になるには試験に合格する必要がある。
その試験は3日後なのだが、3日前までに試験に登録しておかねばならんのだ。
次に2だ。これはその名の通りで、夜だともう予約がいっぱいになっている可能性が高いため、今のうちに予約をとっておくのだ。
そして3。盗賊との戦いで分かったが、俺の音楽魔術は耳を塞がれれば終わりだ。
一瞬の隙間ぐらいは作れるかもしれんが、決定打がない以上意味はない。
つまり知能のある敵にはあまり通じないのだ。
ということでまずは街に入る。門番が2人いるが、いれてくれるだろうか?
何も言われないことを祈り、門の方へ進む。
「おいそこのお前」
いきなり話し掛けられてしまった。
「何でしょう?」
「この水晶に触れろ」
言われるがままに触れる。
「犯罪者ではないな。通れ」
どうやら大丈夫だったようだ。
そして冒険者ギルドへと足を運ぶ。
「すみません、試験を受けたいんですけど‥」
受付っぽいお姉さんに話しかける。
「はい。名前と職業を記入してください」
そう言って紙とペンを渡される。
どうしよう、作術家って書いたらまずいかな?
でも嘘はつけないし‥‥、ええいもうどうにでもなれっ!
レクト·ルカレイン
作術家
書いてしまった‥‥。とりあえずこれで出すしかない。
「お願いします」
「ええっ!【作術家】ですか?」
「はい、まあ‥」
「珍しいですね、頑張ってください」
「は、はいっ」
なんとかなった。多分あの人はとてもいいひとだ。そんなわけでまずは1つ目の目的を達成した。
次は宿だが、とりあえず街をぶらついて探してみようと思う。
「お兄さん冒険者志望ですか?宿は探していませんか?」
いきなり話し掛けられてしまった。(2回目)
「はい。ちょうど探してたところです」
「よかった、うちへ来てくれませんか?」
ぶっちゃけ宿はどこでもいいからこの人のところにいこうかな。
「はい、後で行くので予約しておいてください。名前はレクトです」
「分かりました」
これで宿の確保に成功。次はいよいよ魔術制作だ。
まずは図書館に行こうと思う。そこで魔術を作るために使えそうな情報を手に入れるのだ。
場所はだいたい分かる。さっきぶらついていたときにそれらしい場所を見つけたのだ。
歩くこと数分――――――
図書館に到着した。中に入って受付の人に聞いてみる。
「ここはどう利用すればよいですか?」
「借りたい場合以外は自由に見ていただけます。借りたい場合は私に言ってください」
なるほど。だいぶ自由な感じだ。
「分かりました。ありがとうございました」
とりあえず魔術に関係しそうな本を確かめる。
魔術辞典、特別な魔術、失われた魔術、このあたりだろう。
魔術辞典は、基本的な魔術についてのほんだった。普通の魔術師にはよさそうだが、俺にはあまり関係ない。
特別な魔術は、その名の通り特別な魔術について書かれていた。こちらも魔術辞典と同様だ。
威力が落ちる以上、一般的な魔術は使えない。
今実在する魔術と近いものは作れないのだ。
となると残りは失われた魔術だ。これもその名の通りだった。古代魔術という失われた魔術について書かれていた。
古代魔術の詠唱文は分からない。もし分かったら失われていないが。
つまり今実在する魔術ではない。俺はこれにめをつけた。
古代魔術は大きく分けて3つ。
時空魔術、使役魔術、生命魔術だ。
効果は沢山あり過ぎるので、作るときにでも紹介しよう。
そして今から作るのは、時空魔術の中の一つ、【瞬間移動】だ。
自分と移動先の間にある空間をずらす。
一度で作れるかわからないが、とりあえず作ってみる。
「《我と我が向かいし場所との間にある空間よ、我が後ろへと動き、我を導け》【瞬間移動】―――――登録。世界よ俺の魔術をみとめやがれーーーー!!!」
『登録完了』
よし。無事登録された。これを使えばいける。
―――――――――それから3日が経った。
冒険者試験が今始まる。