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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第8章 魔王誕生編
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98・サーラ 告白

 わたし、告白します。

 わたし、魔王になりそうです。



 わたしは覚醒しました。そこまではいいのです。

 その後なのです。問題は。


 チカラの解放時のあまりの快感に気を失って、目が覚めた時のわたしは、頭がボーッとしていました。

 そのぼやけた頭のまま、なんとなしに元四天王のぐちゃぐちゃの残骸を眺めていました。


 そしてその中に光るモノを見つけたのです。

 そこまで見に行くのもだるくて、手を伸ばして軽く魔力を送り、それを引き寄せました。

 そして何も考えずに手にしました。

 それはとても小さな、紫色の魔石のようなもので、微かに光っています。


 ――食べました。

 

 何故そんな事をしたのか、自分でも分かりません。

 自然とそうしてしまったのです。

 そうさせられたと、言った方がいいかもしれません。


 嚥下した瞬間、体の中に何かが広がって、理解しました。

 これは、……魔王の欠片でした。


 四天王は魔王になる寸前だったのです。そして体内にその因子とも言える魔王のチカラを蓄えていました。それがこの紫の塊だったのです。


 わたしに食べさせたのは、この欠片の意思だったのです。

 それ以来、魔王の人格がわたしの中で生まれて、わたしとごっちゃになってしまっています。


 わたしの意識はちゃんとあるのに、違う意識で行動したりしてしまいます。


 先日もここを訪れた魔族の女性に、意味もなく『威圧』を送り込み、恐怖死させてしまいました。

 わたしはそんな事をするつもりなんて、これっぽっちも無かったのに。


 こんなのわたしじゃ無いです。怖いです。

 しかもわたしの魔力で、この城を維持させられています。

 そのためにわたし、ここから動けないのです。

 なんなのですか。これは。


 魔法で玉座を新しく作りました。もうひとりのわたしがです。

 それに座り一日中じっとしているのです。


 暇です。

 退屈です。


 なんでこうなった。と言いたいです。


 玉座に片肘をついて、足を組み、格好をつけたわたしが居ます。

 何か違います。

 

 大魔導士の杖は近くにありますけど、怖くて持てません。

 今のわたしがこれを持って、一振りでもしようものなら、世界が終わる気がします。

 もうひとりのわたしが、これを持ったりしないかとても心配です。


 完全に魔王になるのも時間の問題のようです。

 そのための条件はわたしは知りません。ですがもうすぐな気がするのは、確かなのです。


 そしていつかの暗殺者さんがやってきました。

 もうひとりのわたしは殺す気まんまんでした。

 わたしは何とかそれを抑えてましたが、暗殺者さんはぶるぶる震えて、恐怖で死ぬ寸前でした。


 もうひとりのわたしと争って、何とか言葉を紡ぎます。

 最後にアランを止めてと伝えたかったのに、失敗しました。

 連れてきてと、もうひとりのわたしが言ってしまっていました。


 その自分の声を聞いて、わたしは覚悟しました。

 魔王になったら、アラン様に倒してもらおう。こんなわたしはもうわたしじゃありませんから。

 そうすれば、アラン様も自分のチカラを解放するという目的を達成できそうです。


 心残りはあります。お婆様に何と言えばいいのか。

 こんなわたしの姿を見せるわけにもいきません。


 お婆様はこのチカラを、死ぬまでに見てみたいとおっしゃっていました。

 でも、こんなもの見る価値もありません。ただの邪悪なチカラなのです。

 それに魔王になったら、更に邪悪なモノが増幅しそうです。


 どうしましょう。




 わたし、告白します。

 わたし、わたし……死にたい。




  

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