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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第7章 姿なき追跡者編~ジーク~
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82・マルゲリーテは語る1

 こいつは……味方なのか? そう思っていいのだろうか。いや敵であってほしくない。

 見た目の言動とは裏腹に、マルゲリーテの思考は俺の想像を遥かに超えるものだ。


「おにーさん、どお? 知ってた? 知らなかった?」


 ツインテールの赤い髪を左右に振り上げながら、瞳をキラキラさせている。


 俺は覚悟を決めた。こいつに全部話してしまおう。

 この頭脳と知識で俺のチカラの復活の秘密を探ってもらおう。そのためには嘘やごまかしは必要ない。

 相手に少しでも信用されなくなったら駄目なのだ。


「ヴィーダの事は知ってるが、そのジークとやらは初耳だ」


 正直に言った。


「なるほろねっそういう事かっ。ぢゃあそれを知るきっかけと、その後のそれに関係する事柄を、なるべく詳しく聞かせてくださいなっ。あたしは何でも聞くよっ、何でも受け入れちゃうよっ、何でも食べちゃうよっ」


 椅子の縁に両手をついて、足をパタパタさせているマルゲリーテの瞳の輝きは、さらに増す。

 まるでおとぎ話を親にねだる子供のようだ。


「フォウ、すべて話すが支障はないな?」

「はい。アランの好きにして結構です」


 相談役のフォウの了解を得て、俺は語りだす。神様と天使と魔族と……俺の事を。




  ◇   ◇   ◇




 マルゲリーテの結界の中で、俺は淡々と今までの事を語った。

 彼女は片時もその瞳を逸らさずに、俺の話を聞いた。


 すべてを聞き終わった後で、マルゲリーテは目を閉じて腕を組み、――黙想に入った。


 どれくらいそうしていただろう。

 身動きもせずにじっと、まるで寝ているかのように静かに、――思考の海に潜っているように見える、

 

 俺たちは黙って待った。


「ハッ。ごめんっ寝ちゃってた!」

「寝てたのかよ!」


 本当にこいつを信じていいのか分からなくなった。

 だがすでに全ては話した。後はなるようにしかならない。


「あまりに飛んじゃってる話だったから、あたしの思考も飛んじゃって、ついでに意識も飛んじゃってたみたいっ。てへっ」


 可愛い女の子でも、その顔にパンチしたいなんて思うものなんだなあと、握りこぶしを固めていると――


「正解はアラン本人が四天王を倒すでいいと思いますっ。何故か? それはそうじゃないとつまらないから。だってさ、倒さなくてもいい、本人じゃなくてもいい、そんなんつまらないっしょ? 今、この瞬間、条件クリアしているかもなんて、そんな楽して終われるわけないでしよっ? ここは本人が倒す設定にしてイコール無理ゲーが面白いんぢゃないですかっ。それによく考えて? 魔力なしが魔王や四天王を倒せると思う? 絶対無理でしょ? これ以上無理な条件ないでしょ? 一番困難な条件がこれなのよ。答えが解らない問題に直面したら、まずはそれが一番不可能だと思われる事柄を探すの。そしたらあら不思議、それが答えだったりするのよ。だからそれが正解。そんなもんですよっ」


 一気にマルゲリータはその見解を述べた。

 論理詰めでも何でもないそれは、何故か納得させられてしまう説得力があった。

 

 俺が魔王や四天王を倒す。確かに無謀な話だ。無理な条件だ。だからこそ、それが答えだという。

 天使たちにダメージをギリギリまで与えてもらって、止めを刺すにしても、その止めのための攻撃力が俺には皆無だ。


「でも天使とか、竜とか、大魔導師の杖とか、四天王とか、マイナス魔力とか、美少女魔法探偵とか、レアキャラのバーゲンセールですかっ。今日は特売日ですかっ? おまけに話の最初に神様まで出てたような気もしますが、あたしの聞き間違えだったのでしょうかっ? 神様じゃなくてせめて、雷様程度にしときましょうよっ。ねっ。さすがに神様はないわぁ……ないわぁ」


 マルゲリーテは頭を抱えていた。




  

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