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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第7章 姿なき追跡者編~ジーク~
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75・サーラ 道の途中

 わたし、告白します。

 わたし、出番がないです。


 王都でフォウ様と同じパーティーになれました。

 それはとても嬉しいのです。感激なのです。

 だけど、わたしが想像していたパーティーの在り方とちょっと違っていました。


 わたしはフォウ様と共に戦い、共に助け合う姿を想像していました。

 それなのに、実際はわたしの出番はまったく無かったのです。


 ニナ様は闘技場でファイターとして出場して、ひとつ目と戦ったり勇者様と戦ったりして活躍していました。

 ここでもやはりわたしの出番はありませんでした。

 でもニナ様がひとつ目を時間を掛けて倒さなければならないのに、一撃で倒してしまって慌てていたお姿はとても可愛らしかったです。


 そしてルル様が仲間に加わり、わたしのパーティーの中での立場がさらに影の薄いものとなってしまいました。

 でもルル様を恨んだりは決してしません。わたしは卑しい生まれの子だと自分で分かっていますから。

 それにルル様はなんと竜の子なのです。

 わたし如きが天使様同様、同列に並んではいけないお方なのです。


 ルル様はニナ様のワンピースを着ると、ニナ様とそっくりで、髪色が違うだけの双子のようでした。

とても可愛らしいです。


 そのルル様も闘技場の影騒ぎの時は活躍されていました。

 ニナ様とフォウ様が手こずっていた影をブレス一発で退けたのです。

 やはりわたしの出番はありませんでした。


 次に遭遇した影の本体さんも、戦ったのは天使様たちだけで、わたしは見ているだけでした。

 その時の戦いは凄かったです。ニナ様の動きも素晴らしいものでしたが、影の本体さんもそれに匹敵していました。


 驚いたのは魔力の使い方で、短いスタッフによって、圧縮された魔力が高速で撃ち出されていました。

 あんな使い方初めて見ました。

 風でも炎でも氷でもなく、魔力そのものを撃っていたのです。

 わたしにも出来るでしょうか。


 イメージします。

 魔力を高濃度圧縮、出来ました。杖に伝導、先端に収縮および凝縮。出来ました。

 圧縮魔力に着弾時に膨張と解放、拡散をイメージとして練り込みます。出来ました。

 目標に発射。かなり離れている大木が消滅しました。

 ドンと音が後から聞こえてきます。

 成功したようです。

 お婆様は言っていました。サーラはやれば出来る子じゃ、と。やったら出来ました。


 今わたしはお花摘みのため、みんなと離れて森の中でひとりです。こっそり実験しちゃいました。

 すぐに戻らないと大きい方だと勘違いされて恥ずかしいです。早く戻らないと。


 やはり戻ったらニナ様に勘違いされてしまっていました。サーラのおならがおっきかったなの、とおっしゃいます。

 恥ずかしいです。おならじゃないです。魔力の発射音です。でも何も言えずに顔を真っ赤にして俯いてしまいました。きっとみんなも勘違いしてしまっています。

 ああ。……どうしましょう。穴があったら入りたいです。




  ◇   ◇   ◇




 わたしたちは王都を離れました。

 そしてある町に着き、ある事件が起きました。

 とても恐ろしい事件です。


 そこでわたしはちょっとだけ、本当にちょっとだけですが、――活躍とまでは言いませんが、ちょっとだけ出番があったのです。


 わたしの魔力が初めて役に立ったのです。


 だからこの日は、サラダ……もとい、サーラ記念日。




 

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