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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第5章 王都編~闘技場のあれこれ~
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57・勇者のやり方1

 ニナの足元に、ボロクズのようになったローランドが横たわっていた。


「「「……」」」


 会場も何が起きたのか分からないようで、静まりかえっている。


「死んだかな?」

「いえ、観客席から回復魔法が掛けられています」


 見れば勇者パーティーの魔法使い(男女)二人が、杖を勇者に向けていた。

 回復役がふたり? そうだとしたらパーティーとしてはありえない組み合わせだ。


「男の方が何かを仕掛けているかもしれません。あの場所の部分だけ会場の結界が破られています」


 フォウが言うやいなや、突然勇者が立ち上がりニナに襲いかかった。

 ニナは……動かない。いや動けない? 動こうとしている体勢で固まっていた。明らかに不自然だ。


 ローランドの拳がニナの脇腹に食い込み、その衝撃でニナは会場の端まで吹っ飛ばされて結界に激突した。


「ニナ!!!」


 ローランドが不敵に笑う。


「すまないなニナたん。勇者ともなると、簡単にやられるわけにもいかなくてね(笑)」


 ニナは……動かない。

 倒れたままだ。


「フォウ! サーラ! 行くぞ!」

「はい」

「……!」


 人混みを掻き分けながら走るに走れないもどかしさの中、ニナの方を見ると彼女は担架で運ばれていた。


「くそ!」


 馬鹿勇者は右手を高く掲げて、勝利宣言してやがる。

 そこに場内アナウンスが流れる。


「突然でしたが本日のメインは勇者ローランド様の特別試合でした! お楽しみいただけましたでしょうか!? 見事な逆転劇でしたね!!! それではまたのご来場をお待ちしております!」


「「「ウオオオオオオオオオオオ!!!」」」


 観客もやっと納得したというように騒ぎ出す。

 ちっ、後で取ってつけたようなアナウンス流しやがって。


 ニナは既に運ばれた。どこだ? 控室か、医務室か。

 俺たちは医務室に向かった。




「ニナ負けちゃったなの?」


 ニナは既に全回復でベッドに座っていた。意識さえ戻ればあとは自分で何とか出来るのだ。


「お前が負けるわけないだろう? 馬鹿勇者の反則負けだ」


 明らかに外部からの干渉があった。あれでは三対一だ。


「ニナ、何かされましたか? 最後は動けないようでしたが」

「うん。なんかねーニナねー動けなくなっちゃったなの」


 あの勇者パーティーの男の方が何かしたに違いない。回復役が二人とはとても思えない。一人は攻撃専門の魔法使いだろう。


「無事で……よかった……です」

「お連れ様ですね? 試合は見てませんが、気絶だけで済んで良かったですねぇ」


 看護師らしい若い女性が話しかけてきた。

 気絶だけで済んだはずがない。恐らくニナは酷い怪我を負っていただろう。

 本当に意識が戻って良かった。


 医務室の扉がノックされた。

 看護師の女性が扉を開けると、勇者パーティーの三人が入ってきた。


 こいつら! なにをノコノコと……。


「やあ怪我はどうだいニナたん? 僕のパーティーには優秀な回復術師が居るからね、連れて来たのだが(笑)」

「てめえ!」


 ローランドは俺を無視して、ずかずかとニナのベッドへ近づく。

 さっきまでの装備は外していた。ニナにボコボコのベコベコにされてしまったからだろう。


「おや? すでに全回復だと? どういう事だい? ここの医務室にそんな有能な医師は居ないと思ったが。……骨が何本もいった感触も確かにあったのだけどね(笑)」

「無視すんな! ローランド! お前さっき何かしただろう! ニナが動けなくなった時の事だ!」


 そこでやっとローランドは俺の方を向いた。


「そうだよ。僕が僕のスキルで彼女の動きを止めたんだ。何か問題でもあるかい?(笑)」

「なんだと……」


 こいつにそんな余裕も素振りもなかった。仲間の魔法使いが杖を向けていたのも見ている。


「てめえ、よくもぬけぬけと……」


 俺の呆れ顔をスルーして、ローランドはニナに向き直ると、更に馬鹿な事を言いだした。


「ところでニナたん。僕たちのパーティーに入る気はないかい?(笑)」





  

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