53・サーラ なんて素敵な
わたし、告白します。
わたし、冒険者になりました。
アラン様の提案で、わたしもパーティーに入れてもらう事になりました。
冒険者登録をするためにギルドに来たのです。
冒険者というものに特別興味もなかったのですが、フォウ様と一緒のパーティーという事が、わたしとしてはかなり重要なのです。
フォウ様と一緒。同じパーティー。共に戦い、共に助け合う。
わたしがピンチになれば、フォウ様が立ちふさがり、フォウ様が危うい時には、わたしが大魔導師の杖を振りかざす。
そんなイメージがたくさん湧いてきて、わたしの心は踊ります。
なんて素敵な事でしょう!
アラン様は嫌な思いもするだろうと心配されてますが、わたしにはフォウ様との楽しい未来しか思い浮かびません。
わたしだけが別部屋に通されました。魔力測定をするようです。
冒険者のランクには興味ありません。フォウ様と同じパーティーに入れる事が出来ればそれでいいのです。
「こんにちは、サーラさん。気を楽にしてくださいね。私はここのギルドマスター、サジリアですわ。隣に居るのが受付見習いのカルナ。彼女がまだ見習いなので私がサポートをする事になっているのですわ」
ギルドマスターのサジリア様は、アラン様と同じくらいの年齢でしょうか。とても綺麗な方です。
カルナという見習いの女性はわたしと同い年くらいに見えます。
「すぐに終わりますわ。――カルナ、準備をお願いしますわ」
「はい。マスター」
鉛色の光沢を放つ金属の箱から、大切そうに拳大の石を取り出しています。賢者の石でしょうか。
わたしはこれまでに、魔力測定をしたことがありません。
お婆様がその魔力の大きさを、ある程度感知していたようですが、数値までは分かりませんでした。
正確な数値を測定するのはこれが初めてです。少し緊張します。
「よろ……しく……お願い……します」
「はい。少しの間目を閉じてください。石を額に当てますがじっとしていて下さいね」
見習いの女性――カルナ様が石をわたしの額に当てます。言われた通りにじっとしていると、そのうち彼女の動揺が感じとれました。
「マ、マスター……これは! どうすれば!?」
「どうしました? カルナ。何か問題でもありまして?」
ギルドマスターのサジリア様も近づいて来ました。そして驚いています。
「あなた……何者なのです!? こんな……こんな事ってありえませんわ!」
どうしましょう。わたし、何を言われているのか分かりません。
目の前のお二人は、あれやこれやと騒いでいます。
すると突然、フォウ様が部屋に入ってきました。
「ちょっとあなた、勝手に入ってきてはいけませんわ!」
フォウ様は部屋の様子を見て、すぐに状況を理解されたようです。
「サーラはわたくしたちのパーティーメンバーとなる者です。サーラの魔力値は知りませんが、それが膨大なのは知っています。特に問題はないと思われますが、その杖を持っている時点で察して下さい」
フォウ様はわたしの背中の、大魔導師の杖を指さします。
「杖ですって? 確かに言われて見れば、物凄い波動が……失礼ですがその布を解いて見せてもらっても構いませんこと?」
わたしは巻かれた布を解き、杖を裸にして差し出しました。
「こ、これは!? まさか! ゴウランド大魔法使い様の!」
「わたしの……お婆様……です……お師匠さま……です」
「お師匠様ですって?……そんな……まさか」
さすがお婆様です。この杖と一緒にお婆様の存在が、世界に知れ渡っているのです。
「初めて見ましたわ。……この杖は第二次魔王大戦で、その魔王の体力を一撃で半分にしたという伝説の杖ですわ! 魔法書の文献によって広く語り継がれてきたのですわ!」
フォウ様はこの杖の事を知っていらしたのでしょうか。一度も披露した事がなかったのですが、さすがは天使様です。
「あなたが、ゴウランド様のお弟子さん……なるほど納得いたしましたわ。大魔法使い様がお弟子にするくらいですもの、この魔力値も納得ですわ。しかも伝説の杖を譲られる程に認められた方ですのね」
この杖を盗んだのかと、疑われなくて良かったです。
先程はわたしの魔力値を見て驚いていたのでしょうか。いったいいくつあったのでしょう。
「サーラの魔力値はどれくらいだったのですか」
フォウ様がわたしの事を気にして下さっています。ああ。……嬉しくて涙が出そうです。
「サーラ様の魔力値は、(18000)と表示されましたわ。……勇者様を瞬殺出来る数値ですわ」
いつの間にか呼び方が、『サーラさん』から『サーラ様』に変わりました。
わたしの魔力はお婆様のお力によって、半分だけ復活したものです。
そうすると、実際は(36000)という事でしょうか。
数字を言われてもあまりピンと来ませんが、勇者様より強いのは確定らしいです。
でもそれはどうでもいい事で、これでやっとフォウ様のパーティーにご一緒出来るのです。
その事がとても嬉しいです。これからもフォウ様と一緒なのです。
「サーラ様にはもちろん、ランクAを登録させていただきますわ!」
ランクもフォウ様と一緒です!
なんて素敵な事でしょう!
わたしは感極まって、フォウ様に抱き着き、泣いてしまいました。




