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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第5章 王都編~闘技場のあれこれ~
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53・サーラ なんて素敵な

 わたし、告白します。

 わたし、冒険者になりました。


 アラン様の提案で、わたしもパーティーに入れてもらう事になりました。

 冒険者登録をするためにギルドに来たのです。

 冒険者というものに特別興味もなかったのですが、フォウ様と一緒のパーティーという事が、わたしとしてはかなり重要なのです。


 フォウ様と一緒。同じパーティー。共に戦い、共に助け合う。

 わたしがピンチになれば、フォウ様が立ちふさがり、フォウ様が危うい時には、わたしが大魔導師の杖を振りかざす。

 そんなイメージがたくさん湧いてきて、わたしの心は踊ります。

 なんて素敵な事でしょう!

 

 アラン様は嫌な思いもするだろうと心配されてますが、わたしにはフォウ様との楽しい未来しか思い浮かびません。


 わたしだけが別部屋に通されました。魔力測定をするようです。

 冒険者のランクには興味ありません。フォウ様と同じパーティーに入れる事が出来ればそれでいいのです。


「こんにちは、サーラさん。気を楽にしてくださいね。私はここのギルドマスター、サジリアですわ。隣に居るのが受付見習いのカルナ。彼女がまだ見習いなので私がサポートをする事になっているのですわ」


 ギルドマスターのサジリア様は、アラン様と同じくらいの年齢でしょうか。とても綺麗な方です。

 カルナという見習いの女性はわたしと同い年くらいに見えます。


「すぐに終わりますわ。――カルナ、準備をお願いしますわ」

「はい。マスター」


 鉛色の光沢を放つ金属の箱から、大切そうに拳大の石を取り出しています。賢者の石でしょうか。

 

 わたしはこれまでに、魔力測定をしたことがありません。

 お婆様がその魔力の大きさを、ある程度感知していたようですが、数値までは分かりませんでした。

 正確な数値を測定するのはこれが初めてです。少し緊張します。


「よろ……しく……お願い……します」

「はい。少しの間目を閉じてください。石を額に当てますがじっとしていて下さいね」


 見習いの女性――カルナ様が石をわたしの額に当てます。言われた通りにじっとしていると、そのうち彼女の動揺が感じとれました。


「マ、マスター……これは! どうすれば!?」

「どうしました? カルナ。何か問題でもありまして?」


 ギルドマスターのサジリア様も近づいて来ました。そして驚いています。


「あなた……何者なのです!? こんな……こんな事ってありえませんわ!」


 どうしましょう。わたし、何を言われているのか分かりません。

 目の前のお二人は、あれやこれやと騒いでいます。


 すると突然、フォウ様が部屋に入ってきました。


「ちょっとあなた、勝手に入ってきてはいけませんわ!」


 フォウ様は部屋の様子を見て、すぐに状況を理解されたようです。


「サーラはわたくしたちのパーティーメンバーとなる者です。サーラの魔力値は知りませんが、それが膨大なのは知っています。特に問題はないと思われますが、その杖を持っている時点で察して下さい」


 フォウ様はわたしの背中の、大魔導師の杖を指さします。


「杖ですって? 確かに言われて見れば、物凄い波動が……失礼ですがその布を解いて見せてもらっても構いませんこと?」


 わたしは巻かれた布を解き、杖を裸にして差し出しました。


「こ、これは!? まさか! ゴウランド大魔法使い様の!」

「わたしの……お婆様……です……お師匠さま……です」

「お師匠様ですって?……そんな……まさか」


 さすがお婆様です。この杖と一緒にお婆様の存在が、世界に知れ渡っているのです。


「初めて見ましたわ。……この杖は第二次魔王大戦で、その魔王の体力を一撃で半分にしたという伝説の杖ですわ! 魔法書の文献によって広く語り継がれてきたのですわ!」


 フォウ様はこの杖の事を知っていらしたのでしょうか。一度も披露した事がなかったのですが、さすがは天使様です。


「あなたが、ゴウランド様のお弟子さん……なるほど納得いたしましたわ。大魔法使い様がお弟子にするくらいですもの、この魔力値も納得ですわ。しかも伝説の杖を譲られる程に認められた方ですのね」


 この杖を盗んだのかと、疑われなくて良かったです。

 先程はわたしの魔力値を見て驚いていたのでしょうか。いったいいくつあったのでしょう。


「サーラの魔力値はどれくらいだったのですか」


 フォウ様がわたしの事を気にして下さっています。ああ。……嬉しくて涙が出そうです。


「サーラ()の魔力値は、(18000)と表示されましたわ。……勇者様を瞬殺出来る数値ですわ」


 いつの間にか呼び方が、『サーラさん』から『サーラ様』に変わりました。


 わたしの魔力はお婆様のお力によって、半分だけ復活したものです。

 そうすると、実際は(36000)という事でしょうか。

 数字を言われてもあまりピンと来ませんが、勇者様より強いのは確定らしいです。


 でもそれはどうでもいい事で、これでやっとフォウ様のパーティーにご一緒出来るのです。

 その事がとても嬉しいです。これからもフォウ様と一緒なのです。


「サーラ様にはもちろん、ランクAを登録させていただきますわ!」


 ランクもフォウ様と一緒です!

 なんて素敵な事でしょう!

 わたしは感極まって、フォウ様に抱き着き、泣いてしまいました。




  


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