表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第5章 王都編~闘技場のあれこれ~
53/105

52・新しいメンバー

 宿に戻っても、俺はまだボーっとしていた。


「アラン大丈夫ですか?」

「あ、ああ。……金ならある」

「……」


 時間が経つにつれ、ダメージが大きくなって行くような気がする。

 金貨五枚。……大金だ。今でこそ何十枚も持ってはいるが、つい最近まで銀貨数枚を稼ぐのに、ひいひい言っていた俺だ。

 価値が分からないはずがない。金貨五枚と言えば、銀貨五百枚だ。


 何かが麻痺していた。天使たちが簡単に稼いでくれるので、俺は何か勘違いしていたのだ。

 せめてもの救いは、ニナが満足してくれた事だろうか。

 

 ニナが稼いだ金だ。彼女が喜んでくれたのなら、それで納得しよう。


「よし、もう寝る」

「反省は終わりましたか? これからは節約しましょう、アラン」

「はい……」


 素直に頷き、ベッドに横になった。ニナも入ってきてくっ付いた。


「アラン今日はいっぱい美味しいのありがとうなの。ニナあしたもがんばるなの」

「そうだな。お前が満足してくれてなによりだ。だがあの店にはもう行かない。俺の記憶が飛ぶ」

「そうなの?」

「そうだ」


 ニナは分かっていないようだが、基本的に素直だから言う事は聞いてくれる。


 俺は上半身を起こし、皆に宣言した。


「よし、明日からは俺たちは節約道を突き進む。宿も取らない、馬車で充分だ。それかフォウのテントでもいい。王都の外に出れば目立たないだろう。食事も肉が食いたければ狩りをしてこい。それ以外は野菜が主食だ」

「ニナまいにち狩りするなの!」

「極端ですね」

「……」

「反対意見は無いな? 方針は決まった。寝るぞ」


 どうせ寝る時は二人一組なのだ。馬車で充分だった。フォウにテントを出してもらってもいい。

 その場合、目立たないように王都の外へ出なければならなくなるが、狩りをするというのなら、それはそれで丁度いい。


 俺は無理やり決定して、さっさと寝る事にした。今夜の事はもう忘れてしまいたい。




  ◇   ◇   ◇




 翌朝、昨夜の事はすっかり忘れて、朝から闘技場へ行くぞとはりきっていた俺は、フォウに止められていた。


「なんでこんな早くから行く必要があるんですか」

「いや、ほら、そのいろいろ準備もあるだろう?」

「ありません」

「他に行くとこもないしさー闘技場でもいいんじゃないかな?」

「闘技場じゃなくて、事務室の間違いじゃないんですか?」

「え? そんな事ないよ? べ、べつに誰かの下着姿が見たいとかじゃないし! 違うし!」

「ニナが毎晩、下着姿でくっ付いているじゃないですか」

「いや、おこさまは……」

「ニナのパンツ見るなの?」


 ピクリと反応したニナがワンピースをめくり始めた。


「着た服脱ぐなおい」

「サーラのパンツ見るなの?」

「あ……や、やめ……ぬ……脱がさ……ないで……くだ……」

「サーラならまだまし……いやいやいやいやニナやめなさい!」

「は……はず……恥ずかしい……ですニナ……さま」


 朝からカオスだった。


 結局朝飯を食うのに狩りに行く事になって、王都を一度出て森へ行き、ウサギだの鹿だの熊だのいろいろ狩って、全部フォウの袖口ポケットにしまった。

 そういえば王都に来る前にいろいろ買った食材も、まだポケットにあったはずだ。


 そのまま昼飯時まで森で過ごした。天使たちは交代で狩りに行き、一人は護衛に残していた。

 サーラは焚火の番だ。


「そうだサーラ、このまま俺たちのパーティー、『エンジェル』に入るか? どうせ一緒に行動してるんだ、ついでにギルドで冒険者登録したらどうだ」

「は……はい……わたしは……どちら……でも」


 サーラを俺たちの庇護下に置くという意味でも、はっきりと外から見ても仲間だと認識させた方が、都合がいいように思える。


 ただひとつ気にかかるのは、冒険者登録の際、サーラの魔力がマイナスとして出てしまう事だ。

 サーラにとっては嫌な気分を味わう事になる。

 ――という事で本人に確認したが、サーラは大丈夫だと言う。


「なら午後からギルドに行ってみるか」




  ◇   ◇   ◇




 昼食を終えて王都に戻り、ギルドを探す。道行く人に聞いたらすぐに分かった。


 さすがに王都のギルド本部は建物から違う。

 それは五階建の作りで、一階部分の広さもこれまで見たギルドの倍以上だ。


「立派なもんだな。さてサーラ、覚悟はいいか? 嫌な事言われたりしたらすぐに言え。俺が守ってやる」

「はい……ありがとう……ござい……ます」


 嫌な思いをするのは確定的だ。魔力測定されたらマイナスなんて値が出るのだ。

 どんな酷い事を言われるのか分からない。だが俺たちが居る。すぐにフォローしてやろう。


 午後のギルド内は比較的空いていた。受付に登録の申し込みをすると、すぐに別室に案内してくれた。


「こちらでお待ちください」


 サーラだけを部屋に通し、俺たちは外で待機だ。


 しばらくすると案の定、部屋の中が騒がしくなった。


「やはりな、どこへ行っても魔力なしだと分かれば驚かれる。その次は嘲笑されて、蔑まれて、ゴミを見るような態度をとられるんだ」

「わたくしが様子を見て来ます」


 仲のいいフォウが傍に居れば、サーラも安心するだろう。


「そうだな、任せた。サーラが落ち込んでいたら慰めてやってくれ」


 俺はフォウを部屋に送り込んだ。




  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ