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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第3章 めぐりあい編~サーラ~
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35・サーラ アランとの出会い1

 わたし、告白します。

 わたし、天使様に恋しました。


 そう、これは恋です。

 あの美しきお姿を拝見した瞬間、わたしは恋に落ちたのです。


 男女の性など関係なく、わたしは落ちました。

 あの神々しくも麗しいお方に、恋い焦がれない者など居るのでしょうか。


 青く透き通る髪の美しさよ

 青く輝く瞳の麗しさよ

 その瞳に打たれたわたしは

 もう他の何ものも視界に入りません


 聡明なる者よ聞くがいい

 愚鈍なる者よ見るがいい

 わたしの穢れなき心を

 わたしのありのままの姿を


 わたしに恥じる事はなにもないのです。わたしは……わたしは……。


「おにくーおにくー」


 怪我を負った男性のそばで、可愛らしい女性が泣き叫んでいます。

 男性の名前は『おにく』と言うのでしょうか。二人でなにやら言い合っています。

 するとわたしの青き天使様が二人の元へやってきました。知り合いなのでしょうか。

 会話の中に『消滅魔法』という単語が聞こえてきました。


「消滅……魔法……」


 わたしはつい、声に出してしまいました。

 だって消滅魔法とは、神の如き高貴な位のお方の、代名詞とも言える魔法なのです。

 神のクラスに昇った者でしか、成し得ない技なのです。


 そこまで考えて、わたしは自分の愚かさに気付きました。

 ああ……わたしは馬鹿です。どこまで愚物なのでしょう。

 その神の御業をたった今発現させたのは、天使様じゃないですか!

 天使様が神の御業を行ったとして、何が不思議でしょうか。


 そしてわたしはまたしても、奇跡を目の当たりにしました。

 なんという事でしょう。

 先程の可愛らしい女性が、「おにくおにく」と言いながら、男性の怪我を治してしまいました。


「回復……魔法……」


 また、声が出てしまいました。

 『おにくおにく』などと言う詠唱は、聞いた事がありません。

 よく見るとおにくの女性は髪色こそ違えど、青き天使様とそっくりな顔立ちでした。


「天使……さま?」


 そういえば、お婆様も洞窟のお爺様も、天使様が二人とおっしゃっていたような気がします。

 だとすると、天使様二人と一緒に居るこの男性は、アラン様なのでしょうか。

 

 確認しなければなりません。

 私は勇気を振り絞って、天使様と男性の元へ行く決心をします。




 ところが商人風の男性に、先を越されてしまいました。

 わたしはどうにも俊敏さに欠けます。素早く動く事が出来ません。

 動こうと頭で考えてはいるのですが、思うように身体がすぐに動いてくれません。

 ドジでのろまな亀なのです。

 仕方がないので、男性の用事が終わるまで待つ事にします。


 わたしがじっとして待っていると、『変異体』という言葉が聞こえてきます。

 先程のウルフの事でしょうか。

 

 なるほど、普通のウルフとは違って見えたはずです。

 天使様が自ら相手をしたという事でも、強敵だったという事でしょうか。

 

 わたしなんかが敵う相手ではないと思われます。

 この場に天使様がいらっしゃって良かったと、つくづく思いました。


 聞こえる会話の断片に『護衛』とか『Aランク』とか、色々な単語が出てきているようですが、わたしには何のお話しをしているのか、よく分かりません。

 天使様が護衛をされるとでもいうのでしょうか。

 だとしたらこの馬車の人たちは幸せ者です。

 その至福の時間(とき)を、後世に語り継ぐがいいと思います。




 ああ、やっと商人風の男性との会話が終わったようです。

 今度こそわたしも、天使様の元へ行くのです。


 わたしは顔を上げ、しっかりとした足取りを意識して、緊張しながら……近付いて行きました。





  

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