22・ランクA冒険者
天使たちは無事に、冒険者カードを発行してもらえた。ランクAだ。
二人はそのカードを胸の前にぶら下げている。とは言っても、カードに紐や鎖が付いているわけでもない。
カード自体に含まれる魔力によって持ち主の身に接触しない状態でぶら下がるのだ。これは体のどの部分にでも出来るので、好きな場所にぶら下げればいい。
女性などは腰の左右どちらかに下げるのが流行らしい。なので男がそれをやると、「女かよ」と言われてしまう。もちろんほとんどの者は、服の下に隠しているので見えはしないのだが。
カードには年齢も記載されているのだがそこには、ニナ・十二歳。フォウ・十五歳。と出ていた。
実際は数百歳じゃないかと疑っていたのだが、ギルドカードに嘘は登録されない。
賢者の石で年齢までもが明らかにされるのだ。それでもここに書かれている数字は、俺の見立てよりもずれていた。
何かこいつら、ズルしてるような気もしないでもないが。ギルドに登録できるのは十二歳からだ。
ちょうどよかったと思うべきか。
いや、それよりも。
そんな事よりもだ。……ランクA! おそらくこの町に存在しないだろうランクAだ。
自分の事ではないけど、いささか興奮してしまう。この俺がまさかランクAのパーティーになるとは夢にも思っていなかった。
二人の登録と同時にパーティー申請も通してきた。
パーティー名は『エンジェル』。もう、その場の思いつきで付けてしまったが、天使がメインのパーティーなのは間違いない。そして、パーティーリーダーは俺だ。ランクAを二人率いる俺。ランクE。
すごいパーティーだな。
寄生しているのが丸わかりだが、そんな事は気にしていられない。
これからしばらくはこの二人に活躍してもらって、稼がなくてはならないのだ。
馬車もそうだが、金はあるに越したことはない。
「いいかお前ら。とりあえず今現在金がない。せっかく町に入ったんだしメシも美味いとこで食いたいじゃないか。で、だ。たった今受けてきたこの依頼をちゃちゃっと済ませて、金もらってメシ食おうぜ」
「おなかへったぁなのー」
「これが済んだらすぐ食わせてやるから我慢しろ」
俺はランクCの討伐依頼を受けてきた。東の森に出る、オグルの討伐だ。
オグルとは人型の知性なき怪物で、武器を持っている事もあり、その巨体と合わせてそれなりに強敵だ。
もちろん俺が敵うわけもない。そいつは単体らしいので二人の腕試しにちょうどいいと思ったのだ。
森までは遠いわけでもない。
討伐にどれくらい時間をかけるかわからないが、半日もあれば帰ってこれるだろう。今はまだ午前中だ。
「わたくしはかまいません。行きましょう」
フォウはどうやら冒険者というものになった事で、少し気分が高揚しているようだ。
「ではさっそく出発だ」
「ぱつなのー!」
俺たちは東の森に向かった。




