21・天使の数値
最初に部屋に通されたのはニナだ。俺とフォウは部屋の外にあるソファに座って待機する。
「行ってくるなの!」
ニナは元気よく部屋に入っていった。
それから少しして、何やら部屋の中が騒がしくなった。俺は何事かとフォウと目を合わせていたら、部屋から出てきたギルド職員のアリナに呼ばれた。
「アランさん、ちょっといいですか」
「どうかしたのか?」
中に入ってニナを見たが、彼女は椅子に座ってきょとんとしているだけだ。
「アランさん、こちらのニナさんとはどういったご関係で?」
「はい?」
アリナに聞かれて、俺もどう答えていいか分からなかった。
「関係と言われても……まぁ保護者みたいなもんかな?」
「そうですか、では彼女の魔力値はご存じですか?」
「えっと、確かな数値は分からないけど、かなり高いとは思う」
そりゃ、あんな魔法を使いこなしていたんだ。魔力が低いわけがない。
もしかして……とんでもない数値でも出したかな。
俺が危惧した通り、アリナは言うのだった。
「実は……少しおかしな数値が出てしまったので、やり直したのですが……それでも同じ数値が出ました」
金髪をかき上げながら彼女は説明する。
「なるほど、それで?」
「それがですね、ちょっと見たこともない数値でして……」
アリナが言っていいのか迷ってそうなので、俺は保護者だからと主張して教えてもらった。
二人の天使もうんうんと同意している。
それによるとニナの魔力値は、(15600)と、賢者の石に表示されたらしい。
ランクAの数値が五千と言われているが、実にその三倍だ。さすが天使といったところか。
じゃあこのままフォウも測ってくれとお願いしてやってもらった。
その結果は(11500)。
この差はなんだろうと思ったが、それでもランクAの倍はある。
ニナに続いて出た高魔力値に、またしても驚いたアリナは慌ててギルドマスターを呼びに行った。
すぐにギルドマスターはやってきた。
「私がギルドマスターのジールです。以後お見知りおきを」
「アランです、こいつらの保護者……みたいなのやってます」
一通り話を聞いたジールは特に問題はないと言い切った。
「ただこの町の規模からしたら、騒ぎの元になりかねないので、彼女たちの魔力値は口外しないことをお勧めします。もちろん当ギルドから漏れる事もありません。ランクはAで登録させてもらいます。ご存じかと思いますがいくら魔力値が高くとも、それ以上のランクは実績を積まないと上がれない事になっていますので。それとおそらく彼女たちの活躍の場は王都にあると思いますがそれは本人の自由です。私からは何も申し上げる事はありませんが一応ご参考までに。では私はこれで。後の処理はアリナが承ります」
淡々と語るとギルマスは去っていった。
「じゃあそういう事で、登録お願いします」
「は、はい! 少々お待ちください!」
するとアリナは俺に近づいてきて、小声で耳打ちするのだった。
「あの、アランさん。彼女たちはこの町の者じゃないですよね。どこから連れてきたのですか」
ぼそっと聞かれたが、俺は――
「内緒です」
――そう言っておいた。




