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転生失格 ~転生して記憶も能力もない俺が行き着く所~  作者: 山下香織
第2章 めぐりあい編~フォウ~
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20・ギルド


 俺は意気揚々とギルドの扉を開く。二人の天使はあいかわらずキョロキョロと落ち着かないが、ギルドの中に入ったところで、やっと正面を向いた。――そして俺たちに集中する視線たち。


「おい、ゼロだ。ぷっ」

「本当だ。ゼロじゃないか。ぷっ」

「まだ冒険者やってるのか、Eランクだっけ? 憐れだなぁ。ぷぷぷ」


 そんな声がまわりから聞こえたが無視だ。そう、俺はここではゼロと呼ばれていた。魔力ゼロのゼロだ。

 俺の魔力なしはここでは周知の事実だった。それをやつらは好きに弄ってくる。


「よお! ゼロ! 久しぶりだな。生きてたか!」


 知っている顔が近づいてきたが、俺はこいつが好きではない。他のやつらと同様に俺を弄っては笑いものにするのだ。ランクCのサガート。俺より五つも年下のくせにランクが上という事で態度がでかい。


「今日はどうしたんだ? お前の受けられる依頼はどうせないぞ? 天下のゼロさまの出来る仕事なんてどこにあるってんだよなぁ? お前らもそう思うだろ?」

「ちげぇねぇ! ワハハハハ」

「サガートか。言ってろ。俺はこれからパーティーを組むんだ。ちゃんと依頼を受けられるんだ。ほっといてくれ」

「へ? パーティー?」


 ポカンとしたサガートが、俺の隣にいる二人の天使を見た。


「まさかゼロおめぇ、ここに居るガキとパーティー組むとか言うんじゃあるめぇな」

「ぶっははははは! 笑える! 天下のゼロさん! ホント笑わせてくれる!」


 まわりも騒ぎだすが知ったことか。俺は無視して受付の窓口へ向かった。


「おいおいゼロよまじやめとけって、さすがにお前よりは強いかも知れねぇけど、よりによって子供を頼るとかないわぁ」


 サガートはそう言いながら、つまらないと言う顔をして仲間の元へ戻っていった。


 天使たちに手を出されなくてよかった。もしそうなったら、ただでは済まない所だったからな。

 

 あいつが。


 目の前のその子供はおそらくお前より強いんだぞ。

 俺は心の中で呟いて、受付の女性に登録の申し込みを願い出た。


 女性はアリナという名で、俺の事を馬鹿にしたことがない。真面目そうなギルド職員で、長い金髪が綺麗なお嬢さんだ。まぁ、心の中でどう思っているかは分からないけど。


「そちらの方の冒険者登録ですね。分かりました。では、あちらの部屋までお願いいたします」


 登録には賢者の石を使って魔力値を測る。それによってランクが決まるのだが、これは一応個人情報で人に教えるものではない。別部屋にてギルド職員の立会いの下、行われるのだ。

 ただ細かい数値は分からなくても、そのランクを知られれば、ある程度は想像できてしまうものだがな。


 ランクはA~Fまであって、Aは魔力値が五千以上とも言われている。そして実際はAの上にランクSという特別な位が存在しているのだが、これはランクAである程度実績をあげた者しかなる事はできない。


 こんな田舎町ではランクSどころか、Aさえ居ないはずだ。

 討伐対象の魔物もC以下がほとんどだし、稀にB対象が出てもその時はギルド職員も参加する条件で、ランクCのパーティーが参加できるようになる。


 ランクAや世界に数人しか居ないとされるランクSの冒険者は、王都にでも行けば会えるかもしれない。

 とにかくこの田舎町ではランクBが居ればいい方で、それだけで田舎のギルドながら上質の冒険者を抱えている、と言えてしまうのだ。


 アリナ嬢が案内する部屋へと俺たちは向かう。はたして天使の持つチカラに賢者の石は反応するのか、そしてその天使の魔力値とは如何ほどのものなのか、一抹の不安をよぎらせつつも、少なくない期待も同時に感じていた。




   

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