※後日談③
とても短い話です。
『父上、結局受肉したんですね。今度は母上まで巻き込んで、何あの子の両親やってるんですか!』
『だって私の愛し子が城の人間に田舎者って馬鹿にされるのも、教養がないって揶揄されるのも我慢ならなかったんだもん!』
『何、かわいこぶって、だもん!ですか!あの子は平民なのに、何、城の宰相言い負かすほどの教養つけてんですか!おかしいでしょう!母上だって礼儀作法に貴族令嬢と遜色ないって、どんだけ村娘に無駄チート備え付けてるんですか!?』
『だって、あの子って元々の素材がいいから教えたら教えた以上に吸収するんですもの、面白くて。あの子に魔力があったら稀代の魔法使いになれただろうに』
『そうだね、あの勇者様のせいで友達が出来なかった分、より勉強に身が入っていたし』
『……はぁ、もういいですけど。そうだ、今回進級試験落第免れたんです』
『『おめでとう』』
『それで、今回の勇者様への褒美、何が良いか考えているんです』
『おや、褒美がいるかい?』
『そうですね、いるでしょう。私が与えた罰”誰も彼の話を聞かない”に加えて、父上があの子を幼なじみとして困らせた罰”今世の言葉を理解する耳と口を奪った”を足され、彼は大勢の民衆の中にいても、ずっと孤独だったんです。
自分の力で、この世界の言葉を獲得するのに長い時間がかかったけど、彼はそれを成し遂げたんです。心から誰かと言葉を交わしたいと、本当に心の底から願い続け、努力し続けた結果です。私は努力する魂をけして見捨てません』
『そうかい。君の好きにするといい』
『はい。それでは』
大勢の子ども達に囲まれて、サッカーを教えている老人を天上から見つめ、その存在は微笑む。
……魂の色の汚れが取れてきている。良かったね。元の世界でも、ここでもない、たくさんある世界の一つで、今度こそは間違えないようにね。私の愛しい教え子よ。




