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第一章八話「帝国へ続く道」・二日目前編


 自分の身体に力がみなぎってくるのがわかる。

 自分が自分でないみたいだ...。


 ルカは戦いにはからっきしだったが今は悪魔を前にして興奮していた。


 今までにない力を有していることをハッキリと自覚していた。



これなら...この力があれば僕でも...


     悪魔相手に勝てる! 






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 雨



 木の下で一夜を明かした僕たちが朝起きると、雨が土砂降りとなって降り注いで来た。

 歩いていた僕たちは近くに洞穴を見つけてすぐにその洞穴に駆けこんだ。




 「あ~あ、せっかく今日には帝国に着くかと思ってたのに...。」

 「この雨の中突っ走って行ってもいいんだぜ?」

 「いや...それは流石に。」


 いくら普通に歩けば余裕で着く道のりだとしてもずぶ濡れになるのは勘弁だ。あっちには知り合いすらいなければ宿のあてすらないのだ。


 「じゃあ一端はここで雨宿りするしかねぇな。」




 そっか、ここで雨宿り...雨宿り...ここで....



 「うあー!」

 「うお!?なんだ急に!?」

 「いや..だってさ、こんなとこでいつまで雨宿ってればいいの?」



 いや、そんなこと知るか。てか雨宿ってるってなんだ。さては暗い場所が恐いのか?ガキかこいつは


 「それなら、この洞穴奥があるみてぇだから奥にいってみねぇか?」


 そう提案すると案の定ルカは首をここぞとばかりに横にぶんぶんと振る。


 「大丈夫だ中に明かりも見えるから安心しろ。」

 「明かり?何が蔓延ってるのかわからないのに入るの?悪いやつかもしれないじゃないか。」

 「悪魔と契約してる時点で世間一般的にはお前を越える悪党なんてそうそういないから大丈夫だ。」

 「そういう問題!?」



 よーしじゃあ行ってみよう!とヴァルは僕の背中を無理に押して洞穴の奥に押し込んでいく。

 少し押されると踏みしめていた地面の感覚がきれいさっぱり無くなった。



 「えっ?」


 そんな間の抜けた声を上げたのも束の間。僕は下に落下していく。


 「えええええええええええええええ!」


 

「幻影魔法で普通の洞窟に見せてたけど実はそこは入り口だったってことか。」


 あーやっちまったなとヴァルは頬をポリポリ掻いて。


 「幻影魔法なんて現代の人間には使い手がいない。」




 「悪魔かもな...。」


まずいなと呟いてヴァルはルカの捜索に自分も穴の下に降りていくのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 洞窟の奥に入ったというのにそこは篝火が壁にかけてあり、暗くて道を進むのに苦労することはなさそうだ...が。



 「どこだよ~ここ。落ちてきた穴もどこにあるかわからないし。」



 そんなことを言いながらかれこれ数分歩いていた。そうすると前方に篝火とは違う明かりが見えた。



 「やった光がある!」


 そういってそこへ向かうとそこは...


    悪魔の宴会場とでも言うような光景が広がっていた。


 「!?」


 声を張り上げて走って行った所為でその場にいた悪魔、あの時森でみたようなグレゴリーたちが一斉に僕に目を向けた。



 「おうおうどうしてこんなとこに人間が居やがるんだ?」

 「この場所を知られちまったってことでいいのか?」

 「そうか、それなら帰すわけにはいかねぇな。」


 そこにいた悪魔たちは口々にそんなことを言い出す。


 ルカは一回見てるのもあってか動けないほどの恐怖はなかった。だが恐い、怖い。



 悪魔たちはじりじりと僕へ近寄ってくる。



 ヴァルがいない以上僕が、僕が自分で何とかしなきゃ。


 そう思った僕は水の魔法を発動させる。



 悪魔たちの目の前に、魔法陣が現れる。



 「「「!?」」」



 悪魔たちがまずいと思ったときにはもう遅い。




 魔法陣から水が噴き出して、悪魔にかかった。




 「「「.......」」」


 「...」



 沈黙




 「なんだこの魔法wwwwww水が降りかかっただけじゃねえか。だーッはッはッはぁ!」




 ああ...これ無理。



 「さてと、抵抗はそこまでか?坊主。今日の晩飯は特別なものが食えるぞー!」




  「「「おおおおおおおお!」」



 

 歓声があがる。僕はもう悪魔の軍勢に囲まれ、逃げ道が塞がれている。そんな時、




 「おい。俺の契約者に手ぇ出してみろ。ただじゃおかねえぞ。」


 と声が聞こえてきた。



 「ヴァルぅ...」

 

 ヴァルは僕の横まで飛ぶと


 「バカ野郎なに泣きそうになってんだ。アホか。」


 「さて、ここどう切り抜けようか?」


 え?それはもうヴァルがパパッと...。


 「ばーかそれじゃいつまでたってもお前が戦えないままじゃねぇか。」


 ヴァルはそういった後僕に耳打ちする。



 「おいてめぇら。もう相談の時間は済んだか?」


 悪魔たちは相当ご立腹のようだ。



 ヴァルはニヤリと笑って。

「さあルカ行くぞ!」


 「おっけい!」



    〔悪魔ヴァルジュ、契約者ルカ・フォルネウスの名の下に、憑依!〕



 そうルカが言うとヴァルはルカの身体に引き込まれ、ルカの姿が変貌していく。


 蒼い服に黒い髪、黒いマントに、その眼は片目が黒、もう片方の黒だったはずのルカの眼は赤く染まっていた。




  「「さあ、地獄に落ちる覚悟をしな!」」


僕たちは『憑依』した状態で声をそろえて言った。

 







幻影魔法は昔よく使われてましたが今ではパーソナリティとして持ってる人は希少で残念ながらパーソナリティとして持ってないと「人」は使えません

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