第一章七話「帝国へ続く道」・一日目
あの出来事があった後、僕は朝早くに村を出た。
また、此処へ戻ってくる日があるのだろうか...
戻ってきたところでみんなは僕を許してくれるだろうか、受け入れてくれるだろうか。
どちらにせよ僕がそんなにすぐには村に戻ることはないと思った。追放されたのだ。そもそも戻る資格がない。
これからの生活は村にいたときのような楽しい生活ができるかな。できたらいいな。
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「村を出ちまったけど何処か行くあてはあるのか?」
「僕は村の外に知り合いがいないんだ。」
「じゃあ?どうするんだ?まさか計画も無しに出てきたわけじゃねえよな?」
「とりあえず帝都に行くことにするよ。村の大人たちがたまに行くんだ。場所は知ってる。」
「んで、それからは?」
そう聞かれて僕は舌を出してへへへと笑った。
「はぁ...やっぱり何も考えてなかったんだな。」
「ま、まあ帝都に行けば何とかなるよ。多分」
多分か...なんでこんな無計画で出てきたのかはなんとなくはわかるが...そこまでショックだったのか。
いや、そりゃ幼馴染に裏切られたようなもんだこうなって当然か。
それからとぼとぼ二人で歩いてるとあっという間に夜は訪れた。
「さて、今日はこの辺で野宿にしようか。」
いくらヴァルがいるからと言って夜の森の中を歩くのは危険だし何より僕の体力がもたない。
「ああ、そうだな。食べ物をくれ。」
はいよ。と言って僕はカバンの中から取り出した果物を投げ渡した。
「サンキュー。」
そういってヴァルは果物にかぶりつく。甘いものが好きらしい。
そうして夕飯を終えると僕は木に背中を預けて寝ることにした。
そこへヴァルが着て
「おい、ルカ。」
「ん?なに?」
「お前これを持っとけ。」
そういって手渡されたのは変な模様が書かれた黒いカードだった。
「なにこれ?」
「それは、魔道具だ。俺お手製のな。」
どうやらヴァルが言うには条件が重なると勝手に効果が出るらしい。そんなもの使わずに終わるのが一番いいんだけどな。とかヴァルは言っていた。
効果までは教えてもらってないのでこれが発動すると何が起きるのかわかるのはヴァルだけだ。
どれだけ言っても教えてくれなかったので僕は諦めて寝ることにした。
こうして一日目は過ぎていった...
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