第一章四話「死地からの帰還と四大の不安」
僕は悪魔と契約した後、サラを抱えて村に戻った。村に着いた頃にはもう夜が明けていて、門を潜るとサラの両親が目に飛び込んできた。その後ろには四大もいた。
サラの両親は気絶していたサラを見て
「ありがとうね。ルカ君が助けてくれたんでしょう?」
と一言
後は私たちが看病するから今日は自分の家で休みなさいと言ってくれた。どうやら夜の森で何をしていたかということは詮索なしらしい。
そう言われては仕方がないので僕は家に戻ることにした。
「やさしい人たちだなー。こんな時間に帰ってきて、しかも自分の娘は気絶状態。それなのになんも聞かずに感謝だけするなんてよ。」
「いっつもそうなんだ...何かあると僕にお礼を言ってね...」
過去にも何回かサラを助けたことがあった。恐らくそれのせいだろうと言うと。ヴァルジュは興味をなさそうにふーんと言って。
「あの後ろにいた四人が四大精霊か?」
「ああ、そうだよ。赤い強面のがイフリート様、青い髪の綺麗な女性がウンディーネ様、緑の小さい少女みたいな見た目をしてるのがシルフ様。最後に茶色い少年のような見た目なのがノーム様だね。」
「ところでヴァルジュは家に入るまで見えなかったけどどこにいたの?」
と尋ねてみるとヴァルジュはあーそれはなと前置きをして
「俺は姿を消すことができるんだ。」
「すごいね!それなら村の皆にもばれないよ!」
「ただし、姿を消してるときには他の物体には干渉できないからな。」
自分の能力を説明した後ヴァルジュは
「あと、俺の名前を呼ぶときはヴァルで構わない、むしろそっちのが良いからそう呼んでくれ。」
「わかったよ。ヴァル!よろしくね。」
そう軽々と答えられてヴァルジュは、こんな奴が俺の契約者で生活していけるかな...と不安に思うのであった。
それから他愛もない話を続けていると。ドアをノックする音が聞こえてきた。
「はーい!ルカですけどー!どちら様ー?」
扉越しにそう答えると
「私よ、クレアよ。」
ヴァルは僕の耳元で外に聞こえないように
(おい、クレアって誰だ?)
(サラのお母さんだよ。今扉明けるから姿消しといて。)
「はい。今開けます。」
扉を開けるとクレアさんは手に何か持って、立っていた。
「これね今日の夕飯。今日は一緒に食べれないからね。ごめんね。」
「あーいや別に大丈夫ですよ。いっつもいっつもありがとうございます。」
そういってクレアさんはカレーを渡して帰って行った。
「ほーう、これが夕飯ねぇ?」
「大丈夫だってちゃんとヴァルにもあげるから。」
そうして二人で一人分のカレーを分け合って食べた後疲れていたのですぐに寝ることにした
「ヴァル、おやすみー」
「ああ」
そういうとルカはすぐに寝息を立て始めた。まったくのんきな奴だ。
(それにしても...あの四大精霊とか言う奴ら、ルカが悪魔と契約したことに気づいてやがるな...ったく何考えて野放しにしてるんだか...)
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そして神殿では
「またか...また『あの時』と同じだ...」
とイフリート
「そうね...あの時と一緒になってしまったわね」
「わかってるならなんで罰しないんです?」
「それはあの時も一緒だったのですよ、シルフ」
「そうだ。確かにあやつは悪魔と契約してしまった。だが民衆にばれていない以上罰することはないだろう。」
「あの子なら大丈夫そうなのです。罰しなくてもいいんです?」
「それはダメだ。なにより悪魔は畏怖の対象で掟として禁止している。ここでそれを許してしまえば村民が不安と共に暮らしていくことになってしまう。」
「そうね..あの子がなんとかみんなの前で悪魔を見せてしまわなければよいのですが...」
ウンディーネは不安だった。その不安はイフリートたちも同じことだった。過去に村を救おうと悪魔と契約してしまった人がいたからだ。
「そうならないことを望むだけだな。」
しかし、少年との別れは意外にも早くに来ることになる...
普通の喋り方してる男女がイフリートとウンディーネ
なのです口調の少年がノーム もう一人がシルフです