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第一章二話「昼下がりの森と月明かりの森」


 森の中は見渡すかぎり木が所狭しと並んでいる。森なのだから当たり前だろう。ここの森には入ってすぐはただの森だが少しすれば食べれる植物や果物が採れる場所がある。はずなのだが


 

 「あれぇ?こんなに長かったっけ?」

 「ん?何が?」

 「いや、果物が生ってる木とかがある場所ってもっと近くなかったかなってね」


 この前来たときはこんなに長くなかったはずだ。下手すればかなりの量を採取できている時間が経っているだろう。

 

 僕がそう言うとサラは


 「今日はね、別ルートなの。前に一人で行ったときちょっと道間違えちゃってね。」


 いつも僕と一緒に行ってるのに間違えるのか..と、たまに出るサラの天然に今日は大丈夫なのかと不安になってきた。


 「その時に偶然見つけちゃってね、そこに珍しいのがそれはもういーっぱい。」

 「それは楽しみだな。早く見てみたい。」


 サラは記憶力が良い。だから間違えた道で行った場所を覚えているのだろう。だがその記憶力も天然には適わなかったみたいだ。


 「もうそろそろ着くわよ。」


 木と木の間のを通り抜けるとそこは果物や植物でいっぱいの広場みたいな場所だった。見たことあるものもあればたまーに大人たちが帝国から持ってくる者もあった。


 「おおーこれはすごい!これならみんな喜ぶよ!」

 「でしょでしょ!この前来たときは採っていかずにとっておいたんだ。」


 これだけいい穴場だワクワクするし嬉しい。しかし少し気になることがあった。


 

 「確かにいいとこだけど後ろが崖になってるのが気になるかな。」

 「なあにぃ?まさかルカ怖いの?」


 ニターっと殴りたくなるような顔で言ってくる。幼馴染でも流石にすごい腹立つ。


 「そんなわけないだろ!サラの方が落ちそうじゃないか!」

 「なにそれひっどーい!」


 そんな問答をした後僕たちは顔を見合わせて吹き出した。




 「せっかく来たのにこんなことやってちゃバカみたいよね。さてさっさと採って帰りましょ。」

  


  そうして僕たちは果物などを採り始めた。

 

 「ふぅ..いっぱい採れたわね」

 「そうだね」

 「じゃあ帰りましょうか。また今夜来るつもりだしね。」


 「えっ?そうなの?」


 それは初耳だったので驚きだ。


 「夜にしか採れない植物があるの。それを採りにきましょ。」


 もちろん村の皆には内緒でね。とサラは言った


 「夜にこっそり出かけるのは久しぶりだよね。行こう行こう。」


 そんな約束をした僕たちは村に帰って行った。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして夜はすぐにやってきた。



 

 「みんなすっごいびっくりしてたね。」

 「わたしお父さんのあんな顔見るの久しぶり♪」


 

 「さて行きましょ。〔フラッシュスフィア〕」


 サラが一言。そうすると僕らを照らす光の玉が出現した。これなら夜の森も特に不自由なく歩けるだろう。

 それでも今日はいつも以上に月の明かりが明るく見えた。


 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 目的地に辿り着くとそこには昼間来た時にはなかったものが生えていた。それを僕ら二人で一つのかごに入れていく。


  


 「あっ!」

 「サラ、どうしたの?」


  そういうとサラは崖を指さして言う。

 

 「あれはね、月詠の花って言ってね、満月の夜にしか咲かないの。」

 「あれも採って帰る気?」

 「当り前よ。あんな珍しい花採らなきゃ損じゃない。」


 確かに綺麗な花だった。100人に見せたら全員が綺麗だと言うだろう。

  


 「わたし月詠の花採ってくるからかご持ってて」


 そういってサラは崖の方に一目散に走っていく。


 「ちょっと待ってよ、そんなに急いだらあぶないって。」


 そういってもサラは止まらない。そして無事に花の下へ行き、花を摘み取る。


 「大丈夫だって!足なんか滑らせるわけないでしょ。」


 そういった直後だった。


 「サラ!あぶない!」


 崖のサラの下の地面にヒビが入り始めていたのだ。崖が崩れる。

 僕はサラを助けるために全力で走った。


 「サラ!僕の手を!」

 

 サラは涙を流しながらかろうじて僕の腕を掴む。だが17歳の男の子が幼馴染の体を片手では支えることができなかった。


 かごもせっかく採った花も崖の下に落ちていく。それに続いて二人もどんどん地面に近づいていく。


 「やだ!わたしまだ死にたくない!誰か!誰か助けて!」

 


 (僕もまだやり残したことがいっぱいある。死にたくない。誰か。誰でもいい。この状況から救ってください。)


 




 そうルカが願った直後、二人の意識はプツッ...っと途切れた。











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