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プロローグ
「みんなは悪魔って知ってる?」
女は語り始めた。淡々と、しかしどこか楽し気に。
「悪魔ってね、自分の願いを代償を払うことで契約してその願いを叶えてもらうことができるの。」
周囲の人々はざわつく、みんながみんな驚いたように目を見開いている。初めてのことを聞かされたような顔をしている。なかには不安げな顔色で近場の人と肩を寄せ合ってる人もいれば、怒り、罵声を浴びせてる者もいる。まるで
〈そんなことあるわけがない!ありえるはずがない〉
と騒ぎ立てているようだった。
しかしそれでも女は気に留めることもなく話を続ける。
「これからするのは明るく、正義感の強い男の子のお話。悪魔と一緒に人知れず人々を助けた、そんなお話」
そうして女は語り始める。人に忌み嫌われ、否定されてきた悪魔と共に人々を助けていた一人の男の英雄譚を....