第二話【眠り姫は唐突に】
授業が終わり、次は移動教室なので廊下を歩いていると「雨宮さ~ん」と、のんびりとした声の主に名前を呼ばれ、私は後ろを振り返った。
「あ、茨城先生」
「この間は、ごめんなさいねぇ~」
「はい?」
先生に謝れるようなことされたっけ?と、思い私は首を傾げる。
頭の中でそれを思い出そうとするが、いくら考えてもそれらしい事は思いつかなかった。
「ほら、自己紹介の時よ~。私ったら、また眠ってしまったみたいでぇ」
茨城先生は頬に手を当て、困った顔をしながら言った。
私は「あぁ、あれか」と思い出す。
それは、ほんの数日前のことだ。
私が転校してきた初日、クラスの皆に自己紹介をしようとしたのだが、私は緊張のあまり頭が真っ白になり言葉が出てこなかった。
すると、この先生に私の緊張が移ったらしく
『ふぁ~、緊張して眠くなってきちゃったぁ~』
と、言うとそのまま寝てしまったのだ。
その後、クラスの皆は『やれやれ…』と言った感じで呆れ、私は唖然となっていた。
そのせいもあり、私の緊張はスッカリ無くなると、私は皆の前で無事に自己紹介が出来たのだ。
『雨宮春奈です。私は皆さんと違い、なんの力もない普通の人間ですが、宜しくお願いします』
と、こんな感じでできたのだから、寧ろ万々歳だ。
「いえ、いいですよ!気にしないでください!」
私が慌てて手を振りながら言うと、私は、先生の生まれ変わりについて聞いてみた。
「先生は……その、いばら姫の生まれ変わりなんです、よね?」
「あら、この学校の事を知っているのねぇ〜」
「はい。雪子ちゃんから聞きました。………後……学校長先生からも……はは……」
私は先生から目を逸らし、窓の外を見て苦笑顔する。
そんな私の顔を見ると、先生は「あら〜」と言いながら先生も苦笑した。
「校長に会ったのねぇ~」
「はい。……あの変態が学校長というのに、驚きと不安が隠せません」
私は真面目な顔で抗議するかのように先生に言う。
「大体なんなんですか、あれ?!いつも間にか後ろにいると思ったら、どうどうとスカートの中を写真で撮ったり!!それに、この前なんて着替え姿を撮られたんですよ?!しかも、普通に更衣室の中に居たし――って、先生?!」
私は先生を見ると、先生は壁にもたれながらスヤスヤと眠っていた。
どうやら、私の話しは聞いていないらしい。
私は、ポカンと口を開け「ね、寝てる……」と呟いた。
そして、ガックリと項垂れた。
「……これ、どうしよう……」
はぁ、と溜息を吐くと、幸せそうに眠っている先生を、私は今一度見たのだった。
END




