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第七部・謎の追跡者(ストーカー)編

大事なサーカス場を火事で失った我ら一団。

来てくれたお客さん達に好意でいくらか援助して貰ったが、流石に充分とは言えない。

「ワンギョ(なら私がバイトで……)」

「やめろって! 前もやったけど全部失敗だったろ!」

と、ピエロ。

うむ、確かに……。

って、え?

何故知ってるの?



サーカス場の火事から数日後。

どうもこのところ誰かに監視されているような気がしてならない。

追跡者ストーカー?」

その言葉に頷くと、妻は急に笑い出す。

「ありえない! 一体何処の怪獣マニアがあなたみたいな出来損ないの合成生物キメラを狙うの」

最近、妻の言葉に刺があるような……。



最近、誰かの視線を感じる。

今朝の出社中もまた背後に気配が。

「ワンギョ(そこかっ!)」

すかさず、猫の顔から髭を矢のように放つ。

が、電柱に刺さったとき既に気配は無い。

逃げられたか!


――間一髪、矢から逃れた追跡者ストーカーは思った。あいつ……また何か変な風に進化してる!



ここはとある施設。真っ暗な一室の電話が鳴る。受話器を取った誰かと、受話器の向こうの誰かが、会話を始めた――。

「尾行は出来たか?」

「抜かりありません」

「で、どんな様子だ」

「はっ。口から炎を吐く技に加え、髭を矢のように放つ特技を得た模様」

「何!? ……他には?」

「缶コーヒーを缶ごと飲み込んでました」

「それは凄い……!」

「因みに微糖が好みのようで」

「それはどうでもいい」



「浮かない顔でどうした?」

サーカス団のピエロが、合成生物キメラの私に言う。

……私を尾行する謎の存在、疑うとしらコイツか。

「ワンギョ(最近不眠症で……夜中に一人で散歩するんだ)」

「何処へ?」

あからさまに食らいついた。

「ギョ(三丁目のコンビニ)」

「なるほど」

と、メモを始め……。

って、あからさま過ぎ!



とある施設。真っ暗な一室で、再び電話越しに、誰かと誰かの会話が交わされる――。

「ヤツに関する新しい情報です」

「報告しろ」

「はっ。最近不眠症らしく、夜中によく三丁目のコンビニまで出歩くそうです」

「なるほど。三丁目で見張れば、ヤツを捕えられるな」

「それと、もう一つ」

「何だ?」

「コンビニの深夜バイトの娘、オレのタイプです」

「その報告はいらん」



三丁目のコンビニ。今夜ここに、合成生物キメラの私を狙う追跡者ストーカーが現れる筈!

……にしても、外は寒いな。

「どうぞ」

と、目の前に缶コーヒーが。

こりゃどうも。

「あんたも見張りを?」

「ワンギョ(そうです)」

「奇遇ですね。オレも見張ってた所で……ちょうど、あんたみたいなキメラが来るのを」

え。



まんまと捕まり、檻に入れられた合成生物キメラの私。

「ワンギョ(貴様、あのピエロか!?)」

「ああ。それ以外にアルバイターに扮していたこともあったな」

なるほど、それで私がヘマした事実も知って……。

「ギョエ(なら言葉が通じるのは……)」

「ずっと監視してたお陰さ」

それは納得いかない。

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