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大きなお部屋はメイドさんと共に

ようやくの残金表示等説明回です^^;


 「これが1モル銅貨、これが1スモル銅貨、これが1カル銀貨、これが1スカル銀貨、これが1エル金貨、これが1スエル金貨です。それぞれ下の通貨10枚で上の通貨1枚になります。この更に上のデル白金貨、スデル白金貨というものもありますが、そちらは商会同士など大きな取引にしか使用されません。」



 王様の言い付け通りにガルさんに傘の説明を受けた後も、話に有った担当の人というのが来ないものですからガルさんとお話をしていたところ「そういえば娘がお菓子をいただいたそうで」などと代金を「払います」「いいえ、結構ですから」と問答になりかけ、それを回避すべく話を逸らしてこの国のお金について質問をし、実物をテーブルの上に並べながらの学習となっているのが今の状況です。


 穏やかな感じなのにガルさんって結構押しが強いんで、あのまま話が続いてたらお金を押し付けられちゃうトコだったんですよね。

 そりゃあ、お金は大事ですけどあのお菓子に関してはリルアちゃんのあの笑顔で十分。

 あらためてお金にしちゃうのはかえって勿体無いって話です。


 

 先ほどの説明を受けたお金ですけど、10進法で助かったなぁって感じです。

 12進法とか16進法とかだと面倒ですからねぇ。

 色々と聞いた感じだと1エル金貨=1万円って感じみたいですし、なかなか覚えやすいです。

 基本通貨は円形で、「ス」の付くその10倍は角の丸まった八角形。

 サイズも銅貨→銀貨→金貨の順に大きくなってますので、慣れれば手探りでも間違えずに支払いが出来そうです。



 

 「お待たせして申し訳ない。副官に捕まっていたものでな。」


 そう言って部屋に入ってきたのは先ほどの王様謁見の時にも居た女性の中の一人。

 結構えらそうな感じがするんですけど、この方が「担当者」なんでしょうか?



 オレンジっぽい赤毛をベリーショートにしてますが、美人さんじゃないとなかなか似合わないベリーショートでもきっちり似合っちゃう凛々しい系の美人さんです。


 背もガルさんとあまり変わらないくらいで、女子校とかに居たらモテそうですねぇ。


 口調も男性っぽいですが、それがまったく違和感が無いというかハマってるというか。



 「ヒロミ殿だったな、此度、王宮での世話役を担当する事になったバセドルフィア・クラインだ。」


 「ヒロミ・タカムラです。宜しくお願いいたします。」


 「で、ガルゴラルド殿はどうなされたのかな、この様にお金を並べて。」


 「ヒロミさんにこの国の通貨について説明させていただいておりました。」


 「なるほど、実物を見ながらの方が分かりやすいからな。まあ、貴族の中には自分で支払いをした事の無い者も居るようだが・・・。」


 う~ん、この人貴族嫌いなんでしょうか?

 それとも、この世界での貴族に対する一般の見方?


 「早速だが用意させて頂いた部屋の方へと案内したいのだが?」


 「私も付いていってよろしいですか?」


 ガルさんが言ってくれるのが有り難いです。


 初対面の美人さんと二人っきりなんて間が持ちません。


 「ほほお、別に構わんが。」


 そう言いながら意味有り気な視線をガルさんに向けるバセドルフィアさん。


 なんなんでしょう?


 「娘が彼女に随分なついてしまっておりまして、差し支え無ければ会いに連れて来たいのです。」


 「なるほどな。」


 リルアちゃんには確かに会いたいですね。

 正直、お父さんの方はどうでもいいですが・・・。



 三人で歩く事しばし・・・。


 いや、ここで暮らすんですか?

 

 しばらくの間とは言え、こ、これは・・・。


 ガルさんとこも豪華でしたが、流石王宮、豪華さの桁が二つくらい違うのですよ。


 「こちらが貴方の部屋になる。・・・それから、アニー! 」


 「は、はいっ!」


 「この者が貴方のお付の者となるアニーだ。この部屋の左側のドアが寝室、右側のドアがアニーの控えの間となっている。食事、掃除等、貴方に対する世話とこの部屋の管理を行う事になるので、遠慮なく申し付けてもらいたい。」


 え~! お世話する人が専属で付くんですか?


 いやいや、私みたいな庶民に人に傅かれる生活なんて無理です。


 「何か必要なものや、問題が有れば私に言ってもらいたい。アニーは元々私付きの者の一人なので、彼女に言ってもらえれば私に連絡が付く。」


 こういう事も含めた担当なわけね。


 アニーちゃん? って読んだらいけないのかしら、二十歳になって無さそうな若い子だけど、将来更に美人さんになりそう。


 ホント、この世界って美形さんしかいないのかしら?


 最近はあんまり意識してなかったけど、十代の頃の外見コンプレックスが甦って来そう。


 




 バセドルフィアさんとガルさんが去って、お茶を入れてくれたアニーちゃんが控えの間に戻って、ようやくちょっと落ち着きましたけど、元の豪華な部屋のままなのよねぇ。


 なんか、もし向こうに戻れたら、自分の部屋が凄く貧相に見えそうで悲しい。


 人間慣れるものなのね。


 来てすぐここだったら卒倒してたかもしれないわ。


 少し冷めたお茶で喉を湿す。


 人心地ついてテーブルを見るとなんか袋がある。


 バックスキン使った、頑丈そうだけど品のいい感じの袋。


 軽く持ち上げ・・・らんないくらい、ちょっと重い。



 開いてみると中には畳まれた紙と・・・お金?


 

 紙は手紙でした。


 リルアちゃんからは「また遊びに来てね」と年にしては綺麗な文字で。


 ガルさんからは「王室に希望すればそれなりのお金は支給されるとは思いますが、色々と気軽には使えないでしょうし、何か有った時にお使いください」と。


 

 銀貨や銅貨だけでなく、金貨まで入っちゃってますよ?


 お菓子の代金にしちゃあ過剰じゃないでしょうかねぇ?


 そんな事を考えつつ、リルアちゃんの手紙に少し涙腺緩んだり・・・。


 袋の中のコインを手で弄んでいると「チヤリーン」という音と共にそれが消えました。



 え?

 え?

 なんで?


 私って無意識に手品出来ちゃう人なの?


 コイン消失マジックみたいに鮮やかに消えたコイン。


 なんか、微妙に疲れが回復してる気がするのは気のせい?



 なんかおっかなくなってコインを放置したまま、唯一の手持ち資産とも言える通販カタログをペラペラとめくる。


 そういえば、通販に使える金額の上限とかあるのかな?


 「残高表示・・・とかね・・・え、なにこれ?」


 冗談半分で言った「残高表示」の言葉と同時に視界の右上にお金の表示。


 一、十、百、千、万・・・二千六百万以上?


 円表示なんだ・・・。


 銀行の残高より多いよねぇ・・・もしかして、向こうでの私の個人資産総額?




 もしかして・・・。


 今度は銀貨を選んで手に取ってみる。


 また「チヤリーン」と音がして消えた。




 ・・・残高が増えてる。


 なによこれ、私お金吸収してるの?


 これじゃ、買い物とか出来ないじゃない!


 直接コインに触れなきゃ消えないみたいだけど、支払いもお釣りの受け取りも、それにここでそういう文化があるか分からないけどチップの受け渡しも出来ないよね?


 


 ・・・出来たらいーなー・・・「お金よ出ろ!」・・・出ない・・・。




 うーん、「1モル出ろ!」・・・「チヤリーン」・・・おおっ!




 手から銅貨が出たよ!


 凄い凄い!


 これでいつでもコイン消失マジックが出来・・・じゃない、出し入れ自由なんだ。


 これって凄くない?


 お財布要らずで掏られたりする心配もないよ?


 

 使う使わないは別にして、無くしたりしないよう、ガルさんに貰ったお金の残りも入れておこう!




=================


 残魔力:2678万6627円


 支出:0円

    

 収入:5エル2315モル


 

初の主人公フルネーム

王様に会ったときですら名乗ってない^^;

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