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天空のアトリエ  作者: 黒井 夕
始まりの章
8/19

第7話 下界の暮らしとは

只今不定期更新中……


ベッドに座る空智君と、その前の床に正座する私。


「そろそろ次の連絡が入ると思うから。7つの心の具体的な集め方とかな」


「そう言えば集め方知らなかったね。今度は私も聞く。……で、私はいつまで正座しとけばいいの?」


足がしびれました。でも、弟にしたのにかなりお怒りなのか、空智君はふう…とわざとらしく溜め息をついて腕を組んだ。

それにしてもこの状況おかしいははたから見ると、かなりおかしいと思う。12歳の少年の前に正座させられてる17歳の私。この状況に慣れてきてる私もおかしいけども。


『………ぁ、あー…』


その時、頭の中でなにやら怪しい声が響いた。

ビクッとして立ち上がろうとして、空智君に片手で制される。今の声は一体?周りをキョロキョロしても、この部屋にいるのは私と空智君だけ。

頭に声が響いてくるというのは気分がいいものではない。


「今の……なに…?」


へたすると今すぐ部屋から逃げ出しそうな私を救ったのは、空智君の優しい一声……ではもちろんなく、その怪しい声の次の一言だった。


『……あー…空智、七架聞いてますか?こちらは天候の塔最上階の真波(まなみ)です』


気の抜ける声が頭の中で聞こえた。ガクッとずっこけるふりをして足をくずす。

ああ、こういうことね…連絡って。ちょっとでも怖がった自分が情けない。


「聞こえてます」

「俺も聞こえてるぞー」


『了解です。えーと、これから“下界での暮らしについて”と“人の心の集め方”を説明したいと思います。いいですよね?』


「お願いします」

「さっさと頼む」


空智君、弟の件で機嫌悪いのは分かるけど、関係ない人にあたるのはやめてあげて。発言の全てにイライラがにじみ出てるよ。


『まずは“下界での暮らし”です。えー…もう知ってるかもしれませんが、下界は天空界とは違った社会編成をしています。成人するまでは“学校”というものに通うことが多いようです。空智と七架は別に通わなくても大丈夫ですが、心集めの効率がよくなるでしょうから、一応通っておきましょう』


語尾に♪が付きそうな口調だ。


「えらく適当だな」


『そんなことありませんよ。学校には明日から通ってくださいね。七架は坂ノ上高等学校の第二学年、空智は坂ノ下中学校の第一学年に編入できるよう、こちらから仕向けておきます。学校は隣同士なので、仲良く通学してくださいね』


高等学校やら中学校やら、坂ノ上やら坂ノ下やら…そんなに一度に言われてもついていけませんから。


「無事に通えればいいけど…ははは…」


絶対にたどり着ける気がしない。

それでも真波さんはやっぱり語尾に♪が付きそうな口調で返してきた。


『ああ、その件なら。七架は清音と黒羽が同じ学年になるようにしときました。空智は緑と同じ学年ですよ』


「清音ちゃん?清音ちゃんって…私より年下だけどいいの?黒羽君も」


『……なんとかなりますよ。年齢がバレることより七架の失敗のほうが心配ですから☆』


今度は語尾に☆!?本気でやってるのか真波!

額に青筋の私を見て距離をとりながら、空智君が先を促す。このままだと永遠に終わらないと判断したらしい。


「で、次がメインだよな?“心の集め方”」


『はい。でももう少しお伝えすることが。名字のことなんですが、雲見七架と空智でお願いします。ま、大した意味はありませんから、学校で呼ばれるくらいで。さて、いよいよ“心の集め方”です』


名字についてはやけに適当。質問する間もないし。


『人の心は体内にある時は目にすることができません。体外に出してしまえばその心の色をした宝石のような物になります』


「目にすることが出来ないって、どうやってあるかを確認すんだよ」


やっと機嫌が戻ったらしい空智君。


「私知ってるよ。他の人よりも強い心を持ってる人は、胸の辺りに光が見えるんだよ。天空人にしか見えないらしいけど」


「ふーん、よく覚えてたな。ま、俺はもちろん知ってたけど」


いつもなら「俺のほうが完璧に答えられる!」とか言うくせに、今日はやけにあっさりしてる。まさか、本当に知らなかったとか?……それはないか。空智君のほうがいちおう先輩だし、私がどれくらい勉強できてるかテストしたんだよね。


「ですよね?」


『はい。完璧ですよ』


そういうことにしておこう。下手に追求して怒らせても面倒だから。


だから、私はその時空智君がひそかに落ち込んでいたのをしらないも。


『光を見つけるまではおそらく簡単だと思います。心集めが大変なのはここからで、光を宝石にして出してしまわなければなりません。この方法ですが……』


「光に触れる、だろ?」


真波が続きを言おうとしてるのに、自慢気に答えてみせる空智君だった。さっき私が答えたから?今度は俺が輝く番、みたいな。

さっきは私にくれたんだし、今度は身をひこう。


『空智も完璧ですね。そう、対象の光に天空人が触れれば心はひとりでに宝石に姿を変えます。ですが、気をつけてくださいね?自分の姿が見えないわけじゃないので、誰にでもお構い無しに触れていたら変態街道まっしぐら☆ですよ』


なんか…今すぐにでも天空界に戻って真波を殴り飛ばしたくなってきた。絶対にふざけてる、この人。


『手に入れた宝石は強く握れば天空界に送られますから。これで説明は以上です。分からないことはないですよね?』







―――――――――……

真波が去り、私は空智君と明日からのことについて珍しく意見交換しているところ。

明日から私は坂ノ上高等学校に、空智君は坂ノ下中学校に通うことになっているらしい。編入ってやつはできるようになってるから、私達はとりあえず迷わずに学校までたどり着けばいい。


「明日いっしょに行こうね?通学中にも心を見つけられるかもしれないからさ」


「はあ?まあ…いいけど、高等学校…だっけ?めんどくさいから高校でいいや。高校では一人でなんとかしろよ」


「はいはい。私のほうがたくさんの心集めてみせるからね!」


「なんだとっ?俺のほうが多いに決まってんだろ。優秀だしな」


「まだ空智君も心集めたことないでしょ!」



この時の私達は心集めを軽くそして甘く見ていた。

空に虹を架けることがどれほど大変なのか気づくのは、意外にすぐだったりする。





真波書きやすい!と、執筆中に何度も思いました。


真波さんですが、男です。

イントネーションは真波↑ではなく真波↓です。


うわ…どうでもいい…

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