第4話 二人一組で
「下界ぃ!?」
私の大声に他の数人の視線が集まる。
「な、なんで!?なんで私が下界に?」
下界というのは、この天空界の下に広がる世界の総称。
しかし、天空界で下界のことはあまり知られていなく。
どんな場所なのかも知ってる人は少なく、皆下界をおそれる一方であこがれていたりするのだ。
「清音。七架が暴れる前に捕獲」
「は、はい!」
責任者さんの命令で隣にいた子が私を捕獲してきた。
捕獲って…私、動物違うし。
私の腕をしっかり掴んでいる女の子は、私よりも少し早く7階所属になった子で私の2歳下。
名前は清音。
「清音ちゃんー、痛いよー」
「あ…あ、ごめんなさい!捕獲しろと言われた、ですから…」
ちょっと気の弱いめがねっこだけど、仕事関係のことは完璧なんだよね…これが。
うらやましいかぎり。
「まず一つ目」
私がおとなしくなったところで、責任者さんの注意事項発表が再開した。
「必ず正体を知られないようにすること」
ちょっと待った。まだ私、状況がつかめてないから。
勝手に話を進めないでください。
「清音ちゃん、これって何の集まり?」
「え?」
「私、昨日早く帰ってて…連絡聞けてないんだよね、実は」
「そ、そうだったんですか。すみません、手荒くして」
そう言って、礼儀正しく頭を下げる清音ちゃん。
良い子だなあ。どっかのチビとは大違い。
「えっと…私たちは虹のフロアに所属してますよね?このフロアだけは特別で、下界に下りるチャンスが頂けるんです。今年、選ばれたのはここにいる6人です」
「なんのために下界に?そりゃ行きたいけど…」
「心を集めるためですよ。虹だけはこの天空界で作ることが出来ないんです。天空人が下界に下りて虹になる心を集めてくるしかないんです」
こほん、とわざとらしい咳が響いた。
責任者さんが私と清音ちゃんをじと目で見ていた。
「次は2つ目。人の心は種類によってさまざまな色をしているが、我々が集めるのは虹の七色だけだ。その他は決して取ってはいけない。そして最後、安全が最優先だ。そのため下界へは二人一組で行ってもらう」
二人一組か。
誰とでもいいけど、空智君とだけは嫌だな…絶対うまくいくわけないし。
「清音ちゃんは?一緒に行きたい人いる?もしいないなら……」
「それなら私は…黒羽君とがいいですね」
「黒羽、君?」
誘おうとしてたのに、清音ちゃんはもうパートナーを決めているらしい。
「はい、私の双子の兄です」
「清音ちゃん双子だったの!?」
初耳。
このメンバーにいるってことは、その黒羽君も7階にいたはずなのに。
「お前らのことだ、どうせすぐ決まらないだろうからこっちで勝手に決めてきた」
結局自分では決められないのね。
ここにいるのは6人だから、必然的に3組に分けられるということらしい。
「まずは、緑と青羅」
ちっちゃな女の子と背の高い少年が前に出る。
「次。清音と…黒羽」
隣で清音ちゃんが目を輝かせた。
私に、やりました!そう言って、黒羽君と一緒に前に出ていった。
四人が前に並んで、後ろに残されたのは。
「空智君とか…」
「俺もお前とだけは組みたくなかったわ!」
「で、最後が七架と空智。仲良くやれよ」
しぶしぶ空智君と並んで清音・黒羽組の隣に立つ。
責任者さんの表情が真剣なものに変わった。
つられて私達も静かになる。
「これより、下界への扉を開く」
いきなり決まった下界派遣。
不安と期待の中、今扉が開かれた。
ちょうど区切りがいいので、このスペースを使わせて頂いて、主人公――七架のプロフィール?を書きたいと思います。
七架
17歳 2月4日生まれ
家族構成 父、母 でも、普段は一人暮らし。
好きなこと 寝る前のベッドでごろごろすること
嫌いなこと 上から目線
誰とでもすぐ仲良くなれる性格
こんなかんじです。
次は空智を書きたいと思います。