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天空のアトリエ  作者: 黒井 夕
始まりの章
2/19

第1話 天空の塔最上階――1







「ええ…っと?赤が…強いやる気だから、オレンジは…??」



ここは天候の塔最上階。選ばれた者しか入れないという7階。


資料を広げてぶつぶつ言っていると、背後に誰かが立ったような気配を感じた。

この突き刺さってくるようなオーラは。


「うげ…やっぱり空智(そらち)君…」


「うげ…はないだろ!せっかく見に来てやったのに。それと、空智君じゃなくて空智先輩だろ」


「えー、でもー…」


確かに彼は私の先輩にあたる。でも、どうしても先輩とは呼べない。

性格が悪いからっていうのもあるけど、もっとどうしてもって理由。

だって空智君、どう見ても私より小さいから。

身長はもちろん私のほうが高いし、顔もまだまだ幼いし。

この前だって誰かが、まだ12歳らしいよって言ってたの聞いたし。

私より5歳も下だよ?


「それにしても、七架(ななか)。まだそこ覚えてなかったのか?」


そう言われて、机の上にあった資料を思い出す。

あわてて隠して一番上の資料を閉じた。


が、その拍子に隣の山が音を立てて崩れていった。


………。


「あ、あーーーっ!」


資料室に響き渡る私の叫び声と、それに消される空智君の溜め息。

私には聞こえてるけど。


床に散らばった資料。

でも、資料館にいる人で騒ぎだしたり、驚いたりする人はほとんどいない。


「空智君のバカー!!」


私と空智君が出会ったら何かしらやらかすのは、もうみんな知ってることだから。


「先輩」


「ぐっ…空智…先輩のバカー!!」


私の1日はいつもこんな感じで終わる。


天候の塔最上階――7階の所属が決まって、はや1週間。

1週間前まで、私は風のフロアに所属していた。

風のフロアは天候の塔3階で、空中の気流を動かして下界まで誘導するのだ。

3階は私にしてはなかなかのフロアだから、はっきり言って満足していた。これ以上上のフロアに行くつもりもなかった。


ところが。


ある日、家の郵便受けに手紙が入れられていた。宛名は私、天候の塔からだった。

『本日付で3階から7階への昇格が決定しました。明日からは、7階に勤務するように』

中身はそれだけ。初めてその手紙を目にした時は、恥ずかしいながら信じられなくて、疑った。

しかし、後からよくよく見てみると、手紙が入れられていた封筒には確かに天候の塔の紋章があったのだ。


次の日、いつもなら3階で降りるところを、エレベーターで7階まで上がった。

いつもと違った雰囲気。

おそるおそる自動ドアの前に立つ。

ドアが開ききって、誰かに何かを言われる前に頭を下げた。


「こ、こんにちはっ!!今日から7階の所属になった、七架です!よろしくお願いいたしますっ」


どんな反応をされるかが怖くて、顔を上げられずにいると、いきなり誰かに頭をはたかれた。


「えぇ!?」


「ああ、寝てるのかと思った」


「寝てるわけ…」


顔を上げて驚いた。

目の前に立っていたのは、私よりも背の低い男の子だったから。


「え、あれ?私部屋間違えたかな…確かに7階に来たはず…」


「ここは7階だぞ?」


男の子が私の顔を覗き込みながら言った。


「じゃあなんで、君みたいなちびっこ…」


全て言い切る前にほっぺたを左右に引っ張られた。


「いひゃい!!」


「俺は立派な7階勤務の天空人だ!!」



――こんなのが、私と空智君の出会い。

そんな最悪の出会いのせいか、空智君は私にだけ厳しい。


7階に務めているのは、なぜか私も含めて子どもばかり。

テストで良い点さえとれば、子どもでも働くことはできるけど、前に務めていた3階では私よりも年上ばかりだったから余計に違和感がある。

特に最年少の空智君。


「ねぇ、空智君、なんで?」


「んあ?」


気になってしょうがないから、次の日空智君に直接聞いてみた。


「七架、お前が頭悪いのは知ってたけど…こんなことも知らなかったとは…」


「空智君に聞いた私が馬鹿だった…」


「でも、自分で聞きに来たのはエライ。教えてやろうか」


う、上から目線……っ。

第2話、投稿することができました。


更新は遅いですが、続きもよろしくお願いいたします。

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