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天空のアトリエ  作者: 黒井 夕
黄緑の章
19/19

第18話 魔王様といっしょ!




迷子の仁科を捜して《チビッコどうぶつえん》にやって来ました。


「なんでこんなとこでいなくなるのか…」


《チビッコどうぶつえん》は小さな動物を集めているコーナー。動物たちを見てみると天空界にはいない種類ばかり。

お金を払えば動物とふれあえるみたいで、ちょっと行ってみたかった。


「慧くーん!」


優子がきょろきょろしながら仁科の名前を呼んでいる。

一見、いなくなった弟妹を捜しているかんじだけれども。いなくなったのは魔王なんです。高2男子なんです。


「仁科ー」


だけど手伝わないわけにもいかず、とりあえず名前を呼んでおく。


「慧くーん」

「仁科ー」


そんな中、慧も仁科も知ったこっちゃねぇ、な空智君は腰に手をあてて子供らしくない溜め息をついている。


「ねぇ優子、もう移動しちゃったんじゃない?」


いくら呼んでも出てこないし。

あの仁科が、いつまでもこんなとこにいると思えない。


「そうかも…」

「違うとこ行ってみようよ」


優子は頷きかけたが、もう一度、《チビッコどうぶつえん》を見ると首を横に振った。


「私もう少し捜してくる。慧君、小動物好きだから」


わからない…仁科は本当にわからない…。

優子は私にここで待っててくれるように頼み、小走りに行ってしまった。


「…………」


その辺をふらふらしていた空智君と目が合う。

お人好しめ。

その目はそんなことを語っていたような気がする。


「お人好しですみませんねぇ」

「何も言ってないだろ」


にしても…優子はなぜこれほど仁科と親しいのか。誰にでも優しい優子が魔王の仁科を放っておけないというなら、それはそれで納得。でも学校だけならまだしも、休日も一緒にいるとなると…うーん…。

認めたくないけどなぁ…。


「七架ー!慧君いたよー」


ほんわかした声で我にかえる。

《チビッコどうぶつえん》のほうから優子が駆けてきていた。

その後ろを歩いてくるのは、仁科。

思わず逃げてしまいそうになる。


「へぇ、あれが」


空智君が仁科の金髪を見て物珍しそうに言う。

あれ、じゃないよ空智君。そんな口聞いてると…なんか怖いことされちゃうよ。


「ど、どどどうも、に、仁科…君」

「………どうも」

「慧君ねー、思った通りひよこのあたりにいたよ」


ひよこってあの黄色い可愛いやつだよね?

ひよこをどうするつもりなの、食べちゃうの!?


「さようですか…焼き鳥だけはやめてね…」

「…七架?」

「なんでもないですよ、ええ」





その後。

なぜか4人で絶叫マシンというやつをコンプリートすることになりました。

もちろん絶叫しました。

―――違う意味で。

優子が空智君の隣がいいと言い出した結果、私は仁科と座ることになったのです。

隣で始終無表情な魔王様は、それはもう、怖かったです。


以上、天空界の真波へ。今日の報告。




読んでくださり、ありがとうございます。

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