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天空のアトリエ  作者: 黒井 夕
黄緑の章
15/19

第14話 仁科と英語


桜色のベッドに、雪の白の枕。

そして同じく桜色のソファ。

全体的に淡い桃色で、乙女ちっくな部屋にショートケーキとにらめっこする乙女が1人。


「…ど、毒などは入っておりませんよね?」

「さあ」


乙女ことこの私、七架はさっきから冷や汗だらだらです。理由はもちろん仁科との距離1mのこの状況。さかも向かい合ってる。

まあ、そんなこんなで大好物のはずのショートケーキが劇物にしか見えないの。


「慧君、毒なんかいれてないよね」

「さあ」


ほんとにここに優子がいてくれてよかったと思う。

って、毒以外は入れたのか!?

…とにかくこの状況から脱するために、ケーキにフォークをいれる。食べたら、帰ろう。

ひたすら無言で無駄に美味しいケーキを口に運んでいると、優子と仁科がなにやら親しげに話しだした。


「今日の宿題なんだったっけ?」

「…英語αのワークとプリント」


内容は本当に他愛ないもの。でも、よく見てると仁科って優子と話してる時だけは、うっすらとだけど笑ったりするんだよね。私と話してる時には絶対に見せないのに。

優子にだけは心ゆるしてるって感じ…。

クラスでも本当に必要なときは話してるみたいだけど、優子以外と話してる仁科見たことないかも。


「英語か…慧君得意でしょ、私のもやって?…あ、そうだ!七架も慧君にやってもらう?」

「えぇっ?」


そりゃもちろん、やってくれるのなら嬉しいけども…。


「仁科…英語得意なんだ?以外…」


何気なく私が言うと、なぜか優子はしまったという顔になって、仁科は少しだけ眉を寄せた。

フォークを持つ手に力を込めて深く溜め息をつく。


「え?」


何か悪いことを言っただろうか。むしろ私は誉めたつもりだった、んだけど。

でも優子はなにか気まずそうだし、仁科はケーキ食べるのやめちゃったし。


「私…なんかまずいこと、言ったかな…?」

「…別に」


どう見たって別にじゃない。

さっきまで明るかったこの部屋のムードは、私の発言のせいで暗くなってしまったらしい。


「優子…これやる」

「慧君、七架は知らなかっただけだから…」


仁科が優子のほうに自分のケーキを寄せた。

そして立ち上がると、振り返りもせずに部屋を出ていった。

私は仁科が出ていってドアが閉まっても、しばらく唖然としていた。優子は相変わらず暗い顔をしていて、話しかけずらい雰囲気。

少し前までこの部屋を彩っていたかわいいケーキさえ、ぽつんと寂しげに見えた。



今回は短めです


やっと話が動いてくれました

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