第11話 魔王登場
お待たせしました
最終更新が4月4日とは…自分でもびっくりですよ
今度こそ定期的にいきたいなぁ
「おはよー」
真波、見てますか?下界におりて、早くも一週間目の朝です。
今ちょうど、いつものように空智君を起こして、仲良く?通学、そして息切れしながらクラスにたどり着いたところ。
「おはよう、七架」
「優子~」
ああ、朝からそのスマイル!一気に元気出るよ!
でも私の席に座ってるのは、わざと?それとも間違って?
…教科書が詰め込んであるのを見ると、間違えたらしい。
「七架、元気ない?」
「へ?なんで?」
あえて追求しないで、優子の席に座る。
いつもと席が逆なのに気づいて、優子さん!
「朝から疲れてるように見えたから、かな」
まあ、いいや。今から教科書移動も面倒だろうし、今日はこの席で。
先生、察してね。
「疲れる…?ああ、朝から空智君…じゃなくて、弟の送りしてきたからかな。朝なかなか起きてくれないし…」
「七架、弟いたの!?」
ガタンと音を立てて優子が立ち上がる。数人の視線が集まったけど、当人はさして気にしてない様子
「いるよ?我が儘魔王が。今、中1なんだけどね」
肩をすくめて見せてから、ふと立ったままの優子に目をやると、なぜか目を輝かせて…そう、期待いっぱいの顔で私を見つめていた。
聞かなくてもわかる気がするけど、いちおう。
「うち、来る?」
「行く!はぁ~…弟…いいなぁ~」
優子さん、いらない期待を膨らませないほうがいいですよ。
…って、私こそ優子の勢いに負けて勝手に呼んじゃったけど、空智君の許可なしじゃないか?
それでも、友達呼ぶくらい、下界ライフ満喫してもいいよね。
だいたいなんで空智君の許可?私のほうが年上じゃん!
「いつなら行ってもいい?」
空智君いわく霊が憑いてる状態の一人漫才から、優子の一声で戻ってくる。
「私はいつでもいいよ。弟もいつでもいるだろうし」
「じゃあ…今週の」
と、教室がにわかに騒がしくなった。そしてすぐに静まり返る。
さっきまでの明るい雰囲気が嘘のように消えてなくなる。
「仁科だ…」
「なに、あの人まだいたの…?」
「ほんと、勘弁してくれよ…」
クラスの数人が小声で呟いたのが聞こえた。
仁科?
クラスの反応からして人気者ってわけじゃないらしい。
そんな期待を裏切らず教室に入ってきた、でかい男子生徒。
制服は着崩し、頭は金髪。
でも決して暑苦しいとか汗臭いとかの部類ではない。
天空界でいう“イケメン”って部類。下界ではなんていうのか知らないけど。
「ふーん…こんな人もいるんだ、このクラス」
その仁科って人がクラスを歩くと、先にいた生徒はみんな道をあける。
そういう人には関係を持たないほうがこの先ラク。
って、思ってた矢先、仁科がこっちに方向転換した。
来るの?こっち来るの?
そういえば、私の席の隣、空席だったような……ぐふぅ…。
「おはよう、仁科君」
「優子さん!?」
魔王仁科に勇者優子が立ち向かった!
「………………」
魔王仁科はチラ見&無視をくりだした!
その眼光に通りすがりの村人七架は1000ダメージ!
「もう……」
「……………」
この勝負、draw。
まだ麻痺していた私は仁科が席に座ってから、優子にこそっと尋ねた。
「誰ですか、あの方!?」
「え?あ、そうか、七架知らないのね。仁科 慧君。好きなことは教室の窓からのバードウォッチング!」
たぶんそれ、違う…。
とは言えず、とりあえず遠目に仁科を観察してみる。
Tシャツだし…、頭ツンツンして花火みたいになってるし…、なんで優子は普通に話しかけられるんだ。
「今日は学校来たの。1週間ぶりくらい?」
うぉう!2試合目!?
村人はまだここにいますから!!
「…………誰」
魔王仁科の放った攻撃は勇者優子をよけ、村人七架に命中。
「へ?」
「……優子、……そいつ、誰」
「転校生の雲見七架ちゃん。最後に慧君が来た、次の日に転校してきたの」
「……ふーん」
ふーん…
じゃなくて、ちょっと待った!優子に…慧君!?
「え…それって、ふたり「おーい、HR始めていいか~ 」
ちょうどいいところで先生登場。これほど先生を恨んだ日はないかもしれない。まだ付き合い1週間だけど。
「雲見、野田、座れ~」
と、言われましてもねぇ、私の隣は仁科なんだよねぇ。
でも、まあ…しばらく、うだうだしていると優子が私の席に座ったから平気でした。もはや勘違いのレベルを超えている気がする。
その日の授業中、何度か優子と仁科が話しているのを目にした。
仁科も他の人には自分から距離をとってる感じなのに、優子にだけは話しかけられたら答える。
誰も間に入れないというか…入りたくないというか…。
とにかく、その日は私もふたりのことを聞き出すことが出来なかった。
光探せや!
って突っ込みたくなるほどのスローペース