第0話 天空界
雨が上がったときに、あなたも一度は目にしたことがあるだろう。
空に架かる七色の橋を。
赤に燈、黄、黄緑、緑、藍そして紫―――。
虹の七色は決して混じりあうことなく、自分の存在を主張しているようで。
そのためか、いつからかここでは虹の七色のことを『空の心』、そう呼ぶようになった。
天空界。
あまり知られていないが、人の世界とは違って、雲よりもずっと高いところにある世界。
そこには、天空人と呼ばれる空の住人が住んでいて、仕事に精をだしている。
その仕事というのは、天空人にしかできないこと。
そう、下界の者が望んだ『天気』を作り出すことだ。
天空界は幾つもの区域に分けられていて、その区域ごとに天気を送る場所が定められている。
たくさんある区域だが、それぞれに必ずあるのが『天候の塔』という名の建造物。
塔は1階から7階まであって、1フロアごとに違った天候を司る天空人が働いているのだ。
1階は太陽の力を強めたり弱めたりして晴れを司る。
そして2階では雲に衝撃を与えて雨を降らす任されている、という具合に。
上に登っていくほど高度な天候になっていて、雷や風などもこの塔で作られている。
6階は雲。
全ての天候に関わる実は大切な存在だ。
天候の塔で働く人々はみな6階を目指している。
だが、忘れてはいけない。
天候の塔は7階まであることを。
そしてその7階でも、ある天候が作られているということを。