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#記念日にショートショートをNo.73『愛は星の糸に溶けて』(The Promise of Love dissolves into the threads of the Stars.)

作者: しおね ゆこ
掲載日:2026/10/28

2026年7月7日(火)七夕 公開

【URL】

▶︎(https://note.com/amioritumugi/n/ncefe78c1f22a)


 あの日、僕たちは約束した。


 決して、お互いを好きにならないと。


 ひとつ屋根の下、縁側でお互いの気持ちを打ち明けたあの日、その気持ちを自分の心に封印することを。


 「織愛(おりあ)!!」


 必死に伸ばした腕の先、指のほんの少し先で、君がゆっくと振り返り、懸命に笑って、


ー消えた。




 白いベッドの上で目を閉じて横たわる織愛を見つめる。隣りで、母さんが大きく慟哭し、ぼろぼろと涙を零した。

「母さん……」

母さんの肩に手を添える。細かい顫動が伝わって来て、途端、目の内側を、涙が迫り上がった。

「うっ……!」

怺え切れなくなった涙が、濁流のように頬を濡らす。憚ることなんて出来なかった。母さんの隣りで、慟哭する。母さんが僕を引き寄せ、背中をさすった。その感触に、外すまいと怺えていた最後の箍が外れる。

「うおおおおお!!!!!」

絶叫する。

「牽生(けんせい)のせいじゃない、牽生のせいじゃないからね。」

「2人を産んでしまった、私のせいだから。」

「兄妹で産んでしまって、ごめんね。」

病室のベッドサイド、窓の横の洋服掛けに吊るされた短冊が、揺れている。

「

生まれ変わったら、牽生と恋人同士になれますように。


                       織愛

                        」






 はるか眼下、小高い丘の上に建つ病院の、小さな明かりが灯る一室で、母さんが泣いている。

母さん、ごめん。

でも僕らは、一年に一度七夕の今日だけ、恋人同士でいられるようになったから。あとの364日は、会えないけれども。

病室の開いている窓に、星で溶かした短冊を流す。

窓で煌めいた光の紙に、僕と織愛が眠るベッドサイドで泣いていた母さんが顔を上げる。

窓際に歩み寄った母さんがその光の紙に手を伸ばし、少しだけ寂しそうな笑みを浮かべ、ーそして安心したように微笑んだ。




「

お母さん

七夕の今日、2人を恋人同士にしてくれてありがとう。


                    牽生&織愛

                        」

【登場人物】

●牽生(けんせい)

○織愛(おりあ)

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