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九州の覇王  作者: 大野半兵衛


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第2話 ガチャってみた

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 第2話 ガチャってみた

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 天文19年も年の瀬に入った頃、俺は父に大寧寺の変のことをそっと伝えることにした。

 それで宗像に大きなダメージがあったような、ないようなあやふやな記憶があるからだ。


「父上」

「鍋寿丸か、どうした?」

「宗像三女神様のお告げがありました」

「何……?」

「数年以内に、大内に政変があるから、備えろと」

「………」


 父は持っていた箸を落とした。

 床に転がる箸の軽やかな音が、部屋にこだまする。


「真に、宗像三女神様の、お告げ、か」

「私にはそう仰っていました」


 宗像三女神のお告げは嘘だけど、そこは勘弁してね。

 嘘も方便、そのほうが信憑性があるでしょう。


「備えるとは、どう備えるのか?」

「そこは仰っておりません」


 自分で考えてよ。

 とりあえず、大友と誼を通じるとかかな。間違っても陶晴賢に味方したら駄目だよ。


「なんと……儂はどうすれば……」


 なんか信じてしまったみたい。

 子供の言ったことと、笑い飛ばされるのを覚悟していたんだけど、拍子抜けだ。





 天文20年5月。

 俺は7歳になった。

 なんと父は先月亡くなってしまった。血を吐いてそのまま逝ってしまったのだ。

 あれは胃潰瘍かもしれないな。ストレス溜めていたっぽいからね。

 転生していることからそこまで親に依存していないことからか、父が死んでもそこまで悲しいとは思わなかった。

 もちろん、俺も人の子だから父の死は悲しいよ。悲しみの大きさが小さいというだけだ。


 おそらくだけど、大寧寺の変の対策はしてないと思われる。あとに残される俺たちは、どうなるのか……。


 さて、父には俺の母以外に、正室がいる。

 ただ、この正室は女子しか産んでないため、俺が宗像の家を継ぐと思っていたんけど、どうも違うようだ。

 正室が生んだ菊姫に婿を取り、猶子にしている。それが氏男という人だ。

 氏男は宗像氏が従属している周防の大大名大内氏に気に入られて家督を継いだと同時に隆像という名をもらった。

 隆の字が大内義隆の偏諱だから、期待してるからね! という意味合いがあるようだ。

 ちなみに亡くなった父は、隆尚という名前を持っていたりした。


 氏男は父の兄弟の子なので、俺にしたら従兄弟になる。

 それで俺のような子供に継がせるよりはという話も多く、その氏男が当主になった。


 その関係で、俺は白山城に居を移した。

 そして氏男の子の国丸(3歳)が蔦ヶ岳城に入っている。


 そんなわけで、俺の周りも色々騒々しくなってきた。

 猶子が家を継いだのだから、俺は邪魔者だ。いつ闇討ちされるか分からない。

 時代劇の見過ぎのような気もするが、親子でも血で血を洗う争いを起こすのが戦国の世の倣いだ。

 氏男や国丸からしたら、俺は目の上のたん瘤じゃないかな。


 とはいえ、まだ7歳。

 そこでガチャだ。

 この7年、俺はガチャポイントを貯めてきた。

 今日、そのポイントを使う!


 周囲に誰もいないのを確認し、障子を閉める。


「よし!」


 パンッと頬を叩いて気合を入れる。


 所持ポイントは72ポイント。

 10連ガチャが7回できる。


 10連を選び、ボタンを押す。

 液晶のドラムが回り、ゆっくりと止まる。


「コモンかーっ!」


 ガタガタポコンッとガチャカプセルが出てきた。


 レア以上2個確定なんだ、他の8個はコモンかアンコモンなのは仕方がない。

 カプセルは置いておき、あと9回を……。


「こいこい……アンコモーン!」


 次だ次!


「こいよ……うっしゃー! レアだ!」


 さらに次!


「うおー! レア連チャン!」


 連続で満貫キターって感じ!


 が、それ以降はコモンとアンコモンだけだった。

 くー、スーパーレアやウルトラレアはそう簡単にでないってことだな。


 さて、10個のカプセルは、レア度に応じて色が違う。

 コモンは赤色、アンコモンは黄色、レアは青色だ。


 信号機だね。


 まあ、この上にスーパーレアもウルトラレアもあるから、信号機ではない。決してない。


 とりあえず、10個のカプセルを開けてみるか。

 コモンを1個開けてみる。

 中には紙が折りたたまれて入っていた。

 紙はA5サイズで4つ折りだ。

 そこにはこう書かれていた。


『コモンだったね、残念!』

『景品は飴ちゃん10年分』

『この引換券を持ち、引き換えると願えば、景品が現れるよ!』


 飴ちゃん、って……。

 しかも10年分。

 1年分じゃないんだ。


 でも嬉しい。

 この時代の食生活はあり得ないほど粗食だ。

 海に近いから魚はよく出てくるが、肉はあまり出てこない。たまに雉、兎、猪の肉が出てくる程度だ。

 そして、甘味などない。

 南蛮渡来の金平糖もまだ見たことがない。

 だから、食べたい!


「引き換える!」


 すると、紙は光の粒子になって消え、代わりに壺が12個現れた。

 梅干しでも作ってそうな壺だ。


「……邪魔」


 そこそこ大きな壺が10個。

 これをどうしろと?


「まあいい。今は飴ちゃんだ!」


 壺にはちゃんと封がしてあり、『開封後1年以内に食べるように』と書いてある。


 封を開け蓋を開ける。

 色とりどりの飴ちゃんが入ってる。


「俺、メロンが好きなんだよね」


 緑色を摘み、口に放り込む。

 コロコロ舌の上で転がす。


「うん、マスカットだ」


 これはこれで美味しいからいいけどね。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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