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【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


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第九十六話「外交の硬直と、『飛ぶ宝石』の無言の贈物」

 翌日、ポルトフィオ公国の王宮で、貿易協定を巡る重要な外交会議が開かれた。会議室の空気は重く、公国側の代表である公爵は、王国の提示する条件に対し、終始硬直した態度を崩さなかった。


 ルードヴィヒ国王とアルベルト王子(※通信魔法での参加)は、相手の頑なさに頭を悩ませていた。


 シャルロッテは、国王の隣に、最も控えめなパステルカラーのドレスで同席していた。彼女の役割は、ただそこにいること、すなわち「王家の親愛の象徴」として、場の雰囲気を和らげることだった。



 休憩時間。シャルロッテは、会議室の隅に座る、公国の幼い王女の姿に気づいた。王女は、シャルロッテと同じくらいの年齢だが、地味な灰色のドレスを着て、顔には、外交という大人の世界への恐怖と、疎外感が強く滲んでいた。


 シャルロッテは、その孤独な姿に、自分自身の幼い頃の記憶を重ねた。


 公国の王女は、エルデンベルク語を解さない。そして、シャルロッテも、公国の言葉はわからない。言葉は、二人の間に、厚い壁を作っていた。


 シャルロッテは、言葉の壁を乗り越えるため、昨日港町で買った、青と緑の羽を持つ「飛ぶ宝石」の木彫りの玩具を、小さな手でそっと差し出した。


「ね、これ、可愛いよ」



 公国の王女は、その玩具を見て、一瞬、驚きに目を見開いた。彼女の灰色の瞳に、玩具の鮮やかな青と緑の色彩が映り込み、初めて感情の光が灯った。


 彼女は、玩具を受け取ると、シャルロッテに何かを言おうと、熱心に公国の言葉を話した。言葉は通じない。


 しかし、シャルロッテは、水属性の共感魔法を応用し、王女の言葉の裏に隠された「ありがとう」「こんなに可愛いもの、初めて見た」という、純粋な感情だけを、素直な感覚で受け取った。


 シャルロッテは、その純粋な喜びを共有したことに、心から満足した。


「えへへ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」



 その光景を、公爵は見ていた。公爵は、娘が、外交という重圧の中で、初めて心から笑った姿を見て、胸を打たれた。


 公爵はは、外国の王女が、純粋な愛の行為で、自分の娘の心を救ったという事実に、深い感動を覚えた。


 後半の会議が始まると、公爵の態度は、一変していた。彼は、自国の利益を主張しながらも、驚くほど柔軟に、そして人間的な視点から、王国の提示する条件を受け入れ始めた。


 「ルードヴィヒ国王。我が国は、貴国の『誠実さ』と、『愛の精神』を信じましょう」


 外交は、無事に成功を収めた。



 帰国の船の上で、ルードヴィヒ国王は、娘を抱きしめた。


 「シャル。君の『飛ぶ宝石』が、我が国の外交を救った。君は、言葉も、武力も超える、最強の外交官だ」


 シャルロッテは、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。


 「だって、パパ。可愛い愛は、誰でもわかるんだもん!」


 シャルロッテの純粋な「可愛い」の哲学は、異文化と外交の壁を越え、国と国との間に、最も確かな愛と信頼の絆を結んだのだった。

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