表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/496

第八十四話「夏の図書館の木漏れ日と、銀髪を透かす『一瞬の透明感』」

 その日の午後、王城の図書館は、夏の強い日差しにもかかわらず、高い窓から差し込む光が、空気中で幾重にも折り重なり、透明感のある、涼やかな空間を作り出していた。


 マリアンネ王女は、窓際の席で、難解な古書を読みながら、集中力の限界に達していた。暑さと、研究の難航が、彼女の顔に微かな疲労の色を滲ませている。



 シャルロッテは、モフモフを抱いて、マリアンネの席にやってきた。彼女は、日差しの強い角度に座り、その横顔には、汗の粒が光を反射して、小さくキラキラと輝いている。


「お姉様、休憩しなきゃ! こんなに暑いのに、頑張りすぎだよ」


 マリアンネは、眼鏡の奥で、妹の汗の粒が放つ、瑞々しい生命の輝きに目を奪われた。彼女の疲れが、一瞬、どこかへ吹き飛んだように感じられた。



 シャルロッテは、マリアンネの頭上を見上げた。窓の外の木々の葉が、風に揺れ、マリアンネの顔に、光と影のモザイクを絶え間なく作り出している。


 シャルロッテは、風属性魔法を応用し、窓の外の木々の葉を、ごく繊細に操作した。


 彼女の魔法は、葉の動きを、一瞬だけ止めた。


 光のモザイクが止まった瞬間、強い夏の光が、マリアンネの銀色の髪を、完全に透過し、彼女の頭部の形を、光の輪郭として描き出した。


 その一瞬、マリアンネの存在は、まるでフィルムの中で切り取られた、完璧な透明感を持つ美しさを放った。



 マリアンネは、その現象に気づかなかったが、その光の美しさを、図書館の静寂の中で、無意識に感じ取っていた。彼女の疲労は消え、心が静かに満たされるのを感じた。


 シャルロッテは、再び風を流し、葉の動きを元に戻した。全ては、一瞬の、誰にも気づかれない美学だ。


「ね、お姉様。もう、頭、熱くないよね?」


 マリアンネは、妹の言葉に頷き、妹の汗の粒を、そっと拭ってあげた。


「ありがとう、シャル。あなたの隣にいると、私の頭の中も、夏の午後の透明な水のようになるわ」



 その後、二人は、城下町の人気店で売っている、冷たい果実水を飲むために、図書館を出た。


 シャルロッテが階段を降りる際、彼女のパステルカラーのドレスのフリルが、光を浴びて、生き生きとした躍動感を持って、風に揺れる。その姿は、まるでアニメーションのワンシーンのように、瑞々しい輝きを放っていた。


 マリアンネは、妹の「可愛い」という存在そのものが、世界のすべての風景に、情感と生命の輝きを与えていることを、深く感じた。


 夏の午後の図書館は、シャルロッテの純粋な優しさによって、一瞬の「透明な美しさ」に満たされたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ